東京為替見通し=ドル円、1月全国CPI次第では151円台トライか

 26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りの上昇を受けて150.84円まで上昇した。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)高官からタカ派的な発言が相次いで早期利下げ観測が後退したことで1.0860ドルまで上昇した。ユーロ円は163.72円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、1月全国消費者物価指数(CPI)を受けて円売り圧力が強まる可能性、日経平均株価の4万円乗せ期待、米10年債利回りが4.2%台後半で推移していることなどから、151円台乗せをうかがう展開が予想される。

 一方でドル円の上値は、151.00円に噂されているバリアオプションの防戦売りや151円台乗せでの本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感が抑えている。
 ドル円の今年の150.80円台は、2月13日の150.89円、14日の150.83円、昨日の150.84円までだった。

 神田財務官は、ドル売り・円買い介入の条件として、投機的な円売り圧力の増大やボラティリティーの上昇を挙げている。投機筋の円売りポジションを示唆するIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円売り持ち高は、2月20日時点で120778枚まで増加している。しかし、ボラティリティーの上昇は、150円台での推移が続いていることで見られず、ボリンジャー・バンドの+2σは151.80円台に控えている。

 8時30分に発表される1月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は前年比+1.8%と予想されており、前月の同比+2.3%から低下、コアコアCPI(生鮮食品およびエネルギーを除く)は同比+3.3%と予想されており、前月の同比+3.7%からの低下が見込まれている。すなわち、コアCPIは2022年3月以降で初めて日本銀行のインフレ目標2%を下回ることが見込まれている。

 予想通りに低下していた場合、現在3月の賃上げ率を確認した後の4月の日銀金融政策決定会合で警戒されているマイナス金利やイールドカーブコントロール(YCC)の解除が先送りされる可能性が高まることで、現状の円売りトレンドを下支えすることになる。
 昨年の春闘での賃上げ率は3.58%だったが、今年は4.0%程度が予想されている。

 9時40分からは、シュミッド米カンザスシティ連銀総裁(※今年のFOMC投票権なし)が経済及び金融政策の見通しについて講演を行うが、米1月のインフレ率が下げ止まる傾向がある中での利下げ開始時期に関する発言に注目しておきたい。

 また、米国の現行のつなぎ予算は一部の政府機関の資金を今週末3月1日まで、他の機関の資金を来週末の3月8日まで手当てしている。本日、バイデン米大統領と議会指導者(ジョンソン下院議長、シューマー上院院内総務、マコネル上院院内総務、ジェフリーズ下院院内総務)が会談する予定だが、ウクライナ支援法案や歳出法案に関する話し合いが行われるとのことである。


(山下)
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