ニューヨーク外国為替市場概況・29日 ドル円、反落

 29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は149.77円と前営業日NY終値(151.55円)と比べて1円78銭程度のドル安水準だった。米感謝祭翌日で米債券・株式・商品市場が短縮取引となったことから取引参加者が少なく、NY市場に入るとしばらくは比較的狭い範囲での推移にとどまった。売買は盛り上がりを欠き、150.00円を挟んだ方向感に乏しい値動きだった。
 ただ、日経新聞電子版が植田和男日銀総裁のインタビュー記事を報じると全般円買いが優勢に。植田総裁は同紙に対して「(追加利上げの時期について)データが想定通りに推移しているという意味では近づいているといえる」「インフレ率が2%を超え始めているときに一段の円安になれば、それは中銀にとってはリスクが大きい動きとして、場合によっては対応しないといけなくなる」などと発言。日銀の追加利上げ観測を背景に円高・ドル安が進み、3時過ぎには一時149.47円と10月21日以来の安値を付けた。
 米連邦準備理事会(FRB)による12月利下げを織り込む向きが増える中、長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1685%前後と10月22日以来の低水準を付けたことも相場の重しとなった。

 ユーロドルは小反発。終値は1.0577ドルと前営業日NY終値(1.0552ドル)と比べて0.0025ドル程度のユーロ高水準だった。欧州序盤に一時1.0597ドルと20日以来の高値を付けたものの、買い戻しが一巡すると次第に弱含んだ。欧州中央銀行(ECB)の大幅利下げ観測を背景に独長期金利が約2カ月ぶりの低水準を付けたことがユーロ売りを誘ったほか、この日発表の11月ユーロ圏HICPコア速報値が予想を下回ったことが相場の重し。2時前には一時1.0542ドルと日通し安値を更新した。ただ、米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ると1.0585ドル付近まで持ち直している。
 もっとも、米国では28日の感謝祭の祝日をきっかけに連休に入っている市場参加者が多く、商いは低調。相場は明確な方向感に乏しかった。

 ユーロ円は反落。終値は158.41円と前営業日NY終値(159.90円)と比べて1円49銭程度のユーロ安水準。日銀が12月に追加利上げに踏み切るとの観測を背景に、NY市場に入っても円買い・ユーロ売りが入りやすかった。植田日銀総裁が「一段の円安はリスクが大きい。場合によっては政策変更で対応しないといけなくなる」との見解を示すと一時158.04円と9月19日以来の安値を更新した。

本日の参考レンジ
ドル円:149.47円 - 151.55円
ユーロドル:1.0542ドル - 1.0597ドル
ユーロ円:158.04円 - 159.97円

(中村)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。