NYマーケットダイジェスト・29日 ダウ最高値・金利低下・円高

(29日終値)
ドル・円相場:1ドル=149.77円(前営業日比▲1.78円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=158.41円(▲1.49円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0577ドル(△0.0025ドル)
ダウ工業株30種平均:44910.65ドル(△188.59ドル)
ナスダック総合株価指数:19218.17(△157.69)
10年物米国債利回り:4.17%(▲0.09%)
WTI原油先物1月限:1バレル=68.00ドル(▲0.72ドル)
金先物2月限:1トロイオンス=2681.0ドル(△16.2ドル)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な米経済指標)
特になし

(各市場の動き)
・ドル円は反落。米感謝祭翌日で米債券・株式・商品市場が短縮取引となったことから取引参加者が少なく、NY市場に入るとしばらくは比較的狭い範囲での推移にとどまった。売買は盛り上がりを欠き、150.00円を挟んだ方向感に乏しい値動きだった。
 ただ、日経新聞電子版が植田和男日銀総裁のインタビュー記事を報じると全般円買いが優勢に。植田総裁は同紙に対して「(追加利上げの時期について)データが想定通りに推移しているという意味では近づいているといえる」「インフレ率が2%を超え始めているときに一段の円安になれば、それは中銀にとってはリスクが大きい動きとして、場合によっては対応しないといけなくなる」などと発言。日銀の追加利上げ観測を背景に円高・ドル安が進み、3時過ぎには一時149.47円と10月21日以来の安値を付けた。
 米連邦準備理事会(FRB)による12月利下げを織り込む向きが増える中、長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1685%前後と10月22日以来の低水準を付けたことも相場の重しとなった。

・ユーロドルは小反発。欧州序盤に一時1.0597ドルと20日以来の高値を付けたものの、買い戻しが一巡すると次第に弱含んだ。欧州中央銀行(ECB)の大幅利下げ観測を背景に独長期金利が約2カ月ぶりの低水準を付けたことがユーロ売りを誘ったほか、この日発表の11月ユーロ圏HICPコア速報値が予想を下回ったことが相場の重し。2時前には一時1.0542ドルと日通し安値を更新した。ただ、米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ると1.0585ドル付近まで持ち直している。
 もっとも、米国では28日の感謝祭の祝日をきっかけに連休に入っている市場参加者が多く、商いは低調。相場は明確な方向感に乏しかった。

・ユーロ円は反落。日銀が12月に追加利上げに踏み切るとの観測を背景に、NY市場に入っても円買い・ユーロ売りが入りやすかった。植田日銀総裁が「一段の円安はリスクが大きい。場合によっては政策変更で対応しないといけなくなる」との見解を示すと一時158.04円と9月19日以来の安値を更新した。

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、史上最高値を更新した。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。米長期金利の低下や米景気の底堅さを背景に買いが優勢となった。本日は年末商戦が本格的に始まる「ブラックフライデー」とあって、商戦への期待感からウォルマートやアマゾン・ドット・コムなど消費関連株が買われた。
 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発。電気自動車(EV)のテスラが3%超上昇したほか、半導体大手のエヌビディアが2%超上昇した。
 なお、この日は感謝祭翌日で短縮取引だった。

・米国債券相場で長期ゾーンは続伸。FRBが12月に追加利下げを決めるとの観測が高まる中、債券買いが優勢となった。市場では「月末の機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買いが入った」との声も聞かれた。利回りは一時4.1685%前後と10月22日以来の低水準を付けた。
 なお、この日は感謝祭翌日で短縮取引だった。

・原油先物相場は4日続落。中東情勢への過度な警戒感が緩んだことや、世界的に供給過剰の兆しが見られていることが重しとなった。来週の5日には石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」の会合が開催される予定だ。

・金先物相場は続伸。FRBが12月に追加利下げに踏み切るとの観測が高まり、米長期金利が大幅低下したことが、金利の生まない金の買いを後押しした。

(中村)
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