株式明日の戦略-後場に戻して25日線より上で終了、米国株はCPIを好感できるか

 12日の日経平均は小幅続落。終値は22円安の38797円。米国株は3指数がまちまちで終えたが、エヌビディアなど半導体株の下げが大きかったことが嫌気され、寄り付きから300円を超える下落となった。心理的節目の38500円を割り込んで始まったことで序盤は下を試す流れとなり、安いところでは下げ幅を500円超に拡大。ただ、半導体株にプラス転換する銘柄が散見されたこともあり、38200円台に入ると下げ渋る動きが見られた。
 
 前引け間際に強めに戻して38500円を上回ると、後場はじわじわと水準を切り上げる展開。前場はほぼ全面安であったが、後場に入ると値上がりに転じる銘柄が増加した。終盤にかけては下げ幅を2桁に縮小。引け間際にはプラス圏に浮上する場面もあり、小幅安かつ、高値圏で取引を終えた。グロース250指数は前場のうちにプラス転換しており、後場は上げ幅を広げて2%近い上昇となった。

 東証プライムの売買代金は概算で4兆7800億円。業種別ではパルプ・紙、ガラス・土石、繊維などが上昇した一方、銀行、保険、卸売などが下落した。前引け時点ではプラスはわずか1業種であったが、大引けでは半数近い16業種がプラスとなった。SBIホールディングスとの資本業務提携や、配当性向見直しに伴う増配などを発表した広済堂ホールディングス<7868.T>が急伸。半面、今期の営業減益計画を提示したトーホー<8142.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1079/値下がり529。エヌビディアの大幅安を受けてもSCREEN、アドバンテスト、レーザーテックなど半導体株の多くが上昇。主力どころではファーストリテイリング、ソニーG、ダイキンなどの動きが良かった。連日で強かったパルプ・紙セクターの深掘りが進み、北越コーポ、三菱製紙、阿波製紙が急伸。前日ストップ安で場中は値が付かなかったラボロAIが大幅安スタートから切り返してストップ高となるなど、中小型株の一角に値幅を求めた資金が向かった。業績関連ではフィットネス株の動きが良く、上方修正を発表したカーブスHDが大幅高。上方修正や大幅増配を発表したFFJがストップ高比例配分となった。

 一方、三菱UFJや三井住友など銀行株が軟調。場中には植田日銀総裁の国会での発言内容が伝わったが、次回日銀会合に関する踏み込んだ言及がなかったことが売りを誘ったとの見方があった。定期昇給を半年延期し、人員削減も進めていると日経新聞で報じられたルネサスが4%安となった。三井物産や三菱商事など商社株が強めの下落。決算を材料にGENDAが大きく値を崩した。直近で値動きが大きくなっていたさくらネットや住石HDが連日のストップ安。住石HDは場中に値が付かずストップ安比例配分となった。

 日経平均は続落したが、後場の動きは力強かった。プライムでは序盤は値下がり銘柄が圧倒的に多かったが、終わってみれば値上がり銘柄が値下がりの倍近くあった。本日の米消費者物価指数(CPI)の結果次第では米国の長期金利やドル円が大きく動く可能性があり、押し目買いを入れづらい地合いになるかと思われたが、ローソク足では陽線を形成。終値(38797円)では25日線(38514円、12日時点)がしっかり意識された。

 本日発表される米CPIが米国株の買い材料となるかどうかが注目される。米長期金利の低下を促し、エヌビディアなど半導体株に見直し買いが入るようなら、グローバルでリスク選好ムードが高まりやすい。その際に注意しなければいけないのが為替動向で、円高(ドル安)に勢いがついてしまうと日本株には逆風となる。ただ、きょうの引け味が良かっただけに、米国株が強ければ弱材料にはある程度耐性を示すだろう。日経平均はひとまず39000円台を回復しておきたいところ。主力大型株にしっかりとした動きが見られるかに注目したい。
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