東京為替見通し=ドル円、米CPIを前に152円手前で足踏みが続くか

 9日のニューヨーク外国為替市場で、ドル円は「日銀は今月25-26日に開く金融政策決定会合で、2024年度の物価見通しの上方修正を議論する公算が大きい」との一部報道が伝わって円が買われたほか、米長期金利が低下したこともあって下押しする場面があったが151.57円までだった。また、ユーロドルは米長期金利の低下に伴って1.0885ドルまで上昇したが、その後失速した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本日の3月米消費者物価指数(CPI)を前に、米長期金利を眺めつつも152円の大台を前に足踏みする展開が予想される。

 先月後半以降、ドル円は152円を前にしたもみ合いが続いている。日米金利差を背景としてドル買い・円売りの流れとなりやすい中ではあるが、何度も上抜けに失敗している。同水準にはオプションバリアも観測されるほか、介入警戒感が根強いことも、上値を重くしている。日銀がどんどん利上げを行う状況にないなど、円を買う材料に乏しいこともあり、本日も引き続き米長期金利を眺めつつ、152円手前でこう着した展開が見込まれる。

 もし152円台に乗せると、1990年7月以来の高値水準に足を踏み入れることとなる。その場合は近くの目標値が見当たらない中、手探りで上値を試す展開が予想される。もっとも、本邦当局の円買い介入への警戒感が高まるため、不意の乱高下には十分注意したい。一方で下値については、5日に151円を割るも一時的で、その後は下値を切り上げていることから、8・9日の安値である151.57円付近では買いが入りやすいとみる。

 他方、NZではNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策が発表される。市場予想は政策金利の5.50%据え置きであるが、NZの国内総生産(GDP)は直近で2期連続マイナス成長と国内景気が減速しており、市場ではRBNZの利下げ前倒し観測がくすぶっている。そうした中、声明で前回よりもタカ派トーンが弱まったとの印象を与えるような内容となれば、NZドル売り圧力が強まる公算だ。反対に、早期利下げ観測をけん制することがあればNZドルが買われる展開もあり得るだけに、直後は神経質な展開となる恐れがある。

 そのほか引き続き、中東情勢にも注意したい。今年は4月9日から10日がラマダン(断食月)終了のタイミングとされており、リスクシナリオとしてラマダン明けにイランがイスラエルに対し報復攻撃に踏み切る恐れがある。その場合、ドル円は米長期金利や主要国株価の動向に反応して神経質な動きを迫られることも考えられる。

(川畑)
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