週間為替展望(豪ドル/ZAR)- ZAR、堅調なコモディティが支え

◆豪ドル、3月の雇用統計に注目
◆NZドル、1-3月期CPI低下すれば利下げ圧力高まりそう
◆ZAR、堅調なコモディティ価格が支えも政治混迷がリスク要因

予想レンジ
豪ドル円 99.00-102.00円
南ア・ランド円 8.00-8.40円

4月15日週の展望
 豪ドルは引き続き神経質な動きになりそうだ。今週は豪州から主だった経済指標の発表などがなく、主体的な動きを作ることが出来なかった。しかし、来週は18日に3月の雇用統計が発表されることから、結果次第では豪ドルが動意づく可能性がある。

 2月の新規雇用者数は大幅に予想を上回り、失業率は3.7%まで低下した。2月に続き3月も好調な雇用指標となった場合は、豪ドルの支えになるだろう。もっとも、仮に雇用統計が強かった場合でも、豪ドル円は一方的な動きにはなりにくい。ドル円が34年ぶりとなる円安水準を更新し、ボリンジャーバンド+2σ付近に接近している。ボラティリティーを抑制するという大義名分も成り立ち、為替介入の可能性が高まっていることで、急に円買いに動くリスクもあることには留意しておきたい。なお、17日には3月ウエストパック景気先行指数、18日には1-3月期のNAB企業信頼感が発表される予定。また、ニュージーランド(NZ)では、17日に発表される1-3月期消費者物価指数(CPI)に注目。前期は前年比で4.7%だったが、中銀目標の1-3%にどの程度近づけるかが注目。NZはテクニカルリセッションに入っていることもあり、インフレ率が低下すれば利下げ期待が高まりそうだ。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調となりそうだ。来週は3月消費者物価指数(CPI)の発表などが予定されているが、今週同様に南アの主要輸出品でもある金・プラチナなどのコモディティの動向と、国内政治状況がZARを動意づける中心となる。

 今週も金先物価格は史上最高値を更新し、プラチナ価格も1月初旬の水準まで上昇した。外貨準備のうち金への資産配分を増やしている中国やインドをはじめとした中央銀行の買い意欲が続く限り、ZARの堅調地合いが続きそうだ。ただ、政治動向はZARの重しになる。2019年の総選挙では57.5%の得票率を獲得した与党アフリカ民族会議(ANC)は、今週発表された最新の世論調査で支持率が37%まで低下。主要野党の民主同盟(DA)が25%、経済自由戦士団(EFF)が11%、前大統領のズマ氏が率いるウムコント・ウィシズウェ党(MKP)も13%の支持率を得ている。選挙結果次第では、南アの政局が大きく変わる可能性も出て来ている。

4月8日週の回顧
 豪ドルは対円では堅調、対ドルでは小幅安だった。円安地合いが続き、豪ドル円も2014年12月以来となる100.81円まで豪ドル高・円安が進行。対ドルでは一時約1カ月ぶりとなる0.6644ドルまで強含んだが、3月の米CPIが予想比を上振れると、米長期金利の上昇に連れて0.65ドル割れまで押し戻された。ZARは底堅かった。金先物価格が最高値を更新し、南アが世界最大の生産高を誇るプラチナ価格も上昇するなどコモディティ価格が堅調な動きを見せたことがZAR買いを促した。対円では年初来高値となる8.24円まで上値を伸ばした。対ドルでも1月2日以来となる水準まで買われたが、米CPI発表後はZAR買いの勢いは弱まった。(了)
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