週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、四半期賃金指数に注目

◆豪ドル、四半期賃金指数に注目
◆豪ドル、RBA声明文は予想ほどタカ派的でなかったとの見方
◆ZAR、総選挙が近づく中で動きづらい相場が続く

予想レンジ
豪ドル円 100.00-104.00円
南ア・ランド円 8.20-8.50円

5月13日週の展望
 豪ドルは対円での堅調地合いを維持できるか注目。今週開催された豪準備銀行(RBA)の会合では予想通り政策金利の据え置きが決定され、声明文では「インフレは緩和しつつあるものの、その歩みは以前の予想よりも遅く、依然として高水準にある」「最近のデータはインフレ率を目標に戻すプロセスがスムーズにいかない可能性が高いことを示している」などの見解が示された。総じてインフレ警戒姿勢を維持する内容であったが、直近の消費者物価指数(CPI)が相次いで市場予想を上回る内容であったこともあり、一部では「追加利上げの可能性も排除できない」という過去のガイダンスに戻すとの見方もあった。市場では「予想ほどタカ派的ではない」と受け止められている。

 来週は13日に4月NAB企業景況感指数、15日に1-3月期四半期賃金指数、16日に4月雇用統計の公表が控えている。常に市場が反応する傾向がある雇用統計に加えて、来週は四半期賃金指数にも注目。前述したように市場はRBA声明文を予想ほどタカ派的でなかったと受け止めたため、その後は対ドルを中心に豪ドル売り方向へと傾きつつある。四半期賃金指数がインフレ警戒姿勢を強める内容とならなければ、一段と豪ドルの調整が進む可能性もあり、注意しておきたい。

 隣国のニュージーランド(NZ)からは17日に1-3月期四半期卸売物価指数(PPI)が公表予定。NZ準備銀行(RBNZ)の金融政策発表を翌週(22日)に控えており、物価動向を改めて確認しておきたい。なお、4月に公表された1-3月期四半期CPIは市場予想通りの内容となり、前年同期比ではインフレ鈍化が確認されている。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開となりそうだ。来週は14日に1-3月期四半期失業率、15日に3月小売売上高の発表が予定されている。方向感の乏しいZAR相場が動意づくような材料となるか注目されるところだが、今月29日に予定されている総選挙が近づくなか、持ち高を傾けにくい状況は続きそうだ。なお、現地シンクタンクは「苦戦が伝えられている与党アフリカ民族会議(ANC)が単独過半数を維持することは困難だが、46-49%程度を獲得してインカタ自由党(IFP)などの少数政党と連立を組んで政権を樹立するだろう」「連立相手に対する妥協が必要となるものの、政治・経済のベースラインが大きく変化することはない」「選挙結果がZAR相場に衝撃をもたらす可能性は低い」などと分析している。

5月6日週の回顧
 豪ドルは対円でしっかり、対ドルでは伸び悩んだ。円の根強い先安観を手掛かりに豪ドル円は底堅く推移。一方、豪ドル米ドルはRBAの声明文が予想ほどタカ派的ではなかったとして、RBAの金融政策公表後に頭が重くなった。ZAR円も他のクロス円と同様に堅調な地合いが継続。対ドルでも週明け6日には1月2日以来のZAR高水準を更新したが、その後はZAR買いの勢いも後退し、週を通じて狭いレンジ内での動きにとどまっている。(了)
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