週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、CPI上振れで堅調地合い

◆豪ドル、粘り強いインフレ圧力で長期の金利据え置き観測が支え
◆豪ドル、既に来月のRBA理事会が焦点に
◆ZAR、地政学リスクや選挙リスクなどが重し

予想レンジ
豪ドル円 99.50-104.00円
南ア・ランド円 7.90-8.25円

4月29日週の展望
 豪ドルは堅調地合いを維持できるかに注目。今週発表された1-3月期消費者物価指数(CPI)は前年比で市場予想の3.5%を上回る3.6%となり、3月の月次CPIも予想の3.4%を上振れ3.5%となった。また、豪準備銀行(RBA)の注目度が高いトリム平均値も1-3月期は4.0%となり、予想の3.8%よりも強い結果だった。10-12月期と比較し豪州のインフレ圧力は鈍化したとはいえ、RBAが目標とする2-3%を大幅に上回っている。今後も長期にわたって現行金利水準が維持される可能性がさらに高まっており、豪ドルを支えそうだ。特に、対円では日豪の金利差縮小を期待することが難しいことから、2014年以来の101円台に乗せてきている。
 
 ただ、国内では高止まりするインフレと高い住宅ローン金利という二重の負担に直面しており、今後の貯蓄の目減りや個人消費が圧迫されることが懸念材料。アルバニージー政権が年央に所得減税を含めた対策を進めるとの予想もあるが、スタグフレーションに陥ることにならないかどうかを見極めなければならないだろう。

 来週は5月2日に3月貿易収支と住宅建設許可件数が発表されるが、両指標とも市場を動意づけるのは難しいだろう。市場の注目はすでに5月6-7日のRBA理事会に集まっている。理事会では、今週のインフレ指標の結果を受けて3月に削除された「追加利上げの可能性を排除できない」との文言が再び加えられるかが焦点になりそうだ。なお、ニュージーランド(NZ)からは5月1日に1-3月期失業率、5月2日に3月住宅建設許可件数が発表予定。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限られてきそうだ。対円では底堅い動きを見せているが、対ドルでは軟調な動きが続いている。ZAR安の要因としては、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測の後退や中東をめぐる地政学リスクの高まり、来月の総選挙への不確実性など複合的な要因が重なっている。また、12日には年初来高値に接近したプラチナ価格が、一転軟調な動きとなっていることも重しだ。インフレ指標は低下しているが、クガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁は、エルニーニョ現象の影響が食品価格にはまだ転嫁しきれていないこともあり、インフレの上振れリスクを警戒している。インフレの高止まりは、金利負担など財政への悪影響が大きく、ZAR安要因になる。なお、来週は30日に3月貿易収支が発表される。

4月22日週の回顧
 豪ドルは堅調だった。豪州のCPIが予想を上回ったことがきっかけで、豪ドル円は週初の99円前半から、2014年以来となる101円後半まで上値を広げた。対ドルでも0.64ドル前半から0.65ドル前半までじり高となった。ZARは上値が重かった。中東情勢に対しての不安感がぬぐえないことや、来月後半の総選挙に対するリスク回避の動きが上値を抑えた。
 
 ランド円は8円前半でもみ合い、ドルランドは19ランド近辺で下値が支えられた。なお、SARBの「金融政策レビュー」では、今後のインフレを計るために、基調インフレ指標のPCCIの発表を決定した。(了)


(小針)
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