ロンドン為替見通し=欧州通貨高・ドル安の流れ継続か、金融当局者の発言にも注目

 本日のロンドン為替市場では、昨日発表された弱い米経済指標をきっかけに強まったドル安の流れがユーロドルやポンドドルの支えとなるか。両通貨ペアとも東京午前に昨日高値を上抜けてきた。欧州金利は低下しているものの、米金利動向により影響されやすい状況だ。

 欧州金融当局者の講演も複数予定されており、イタリアやスペイン、フランスの中銀総裁や独連銀総裁の発言内容を確かめることになる。特に、金利市場ではECBがより積極的に利下げを進めるとの思惑も広がりつつあるなか、タカ派として知られるナーゲル独連銀総裁の見解には注目したい。思惑先行の市場をけん制するかもしれないが、「データ次第」とありふれた文言で終えれば、利下げ受け入れと市場は受けとめるかもしれない。

 英国からは、グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員が発言予定。英中銀チーフエコノミストでもあるピルMPC委員は先日、利下げの可能性について述べたものの、検討開始は夏とした。ピル委員の金利引き下げに慎重な姿勢に対し、グリーン委員がどのような見解を示すのかが注目される。なおグリーン氏は、昨年9・11・12月会合では利上げを主張していたが、今年に入ると据え置き支持に転じている。

 他、気になるのはウクライナを巡る地政学リスクの高まり。ウクライナ侵略を続けるロシアが攻勢をかけ、ウクライナ南部や東部の複数の集落を掌握したことが報じられている。ウクライナを支援する北大西洋条約機構(NATO)も一枚岩ではないように見え、状勢は今後さらに泥沼化する可能性も高そうだ。今のところ為替市場への影響は薄いが、注視すべき材料ではある。

想定レンジ上限
・ユーロドル、3月21日高値1.0943ドル
・ポンドドル、3月21日高値1.2803ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、日足一目均衡表・転換線1.0805ドル
・ポンドドル、90日移動平均線1.2624ドル


(小針)
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