ロンドン為替見通し=欧州通貨、対円主導の動きに ECB利下げ観測への反応鈍い

 本日のロンドン為替市場でユーロやポンドは、対円主導の値動きか。弱い米経済指標をきっかけとした「ドル売り円買い戻し」は短命に終わった。ドル円の切り返しに歩調を合わせ、昨日のユーロ円やポンド円は長い下ヒゲ伴う陽線引け。米国の意向を気にして政府・日銀は円買い介入がしづらいとの見方が広まるなか、クロス円も上値余地を試しやすくなっている。

 欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測や、英労働市場の悪化懸念に対する反応も鈍っているのは確かだ。昨日はスペインやポルトガル、そしてラトビアの中銀総裁が6月利下げについて述べた。また、グリーン英中銀金融政策委員会(MPC)委員が、失業率は中銀予想を上回る可能性に言及。ユーロやポンドは対ドルで伸び悩んだものの、水準的には今週初から上げてきた調整の範囲内に留まっている。

 本日も、デギンドスECB副総裁やマン英MPCなど複数の金融当局者の講演は予定されている。相場の反応は薄くなっているとは言え、発言内容は確認しておきたい。また、改定値ではあるが、4月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)も公表予定。

 他、ユーロ圏では政治絡みでの不安要素が見られる。オランダでは、昨年秋の下院選で極右・自由党が第1党となった。その自由党が中心となる連立内閣が、昨日つくられることで合意されたもよう。連立党による政策は、反欧州連合(EU)の態度が明確になると予想されている。EU内で不協和音が高まるようだと、通貨ユーロへの印象も悪くならざるを得ないだろう。

想定レンジ上限
・ユーロ円、心理的な節目170.00円
・ポンド円、ピボット・レジスタンス2の198.15円

想定レンジ下限
・ユーロ円、日足一目均衡表・転換線167.52円
・ポンド円、ピボット・サポート1の195.66円


(小針)
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