週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、翌週の会合前にデータの確認
◆ポンド、翌週にBOE会合控え賃金など経済データの確認
◆ポンド、総選挙の影響薄も関連ヘッドラインには注目
◆加ドル、加中銀の追加利下げ示唆で重い動きが続くか
予想レンジ
ポンド円 197.00-202.00円
加ドル円 112.00-115.50円
6月10日週の展望
ポンドは20日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策会合を控え、今週は4月の雇用データやGDPなど注目経済指標の結果を見極める展開となる。もっとも労働需給は幾分和らいでいるが、賃金上昇圧力は依然高く、インフレ圧力の緩和には依然として時間を要するとの見方が強いなか、7月4日に総選挙を行うことが決定。6月会合での利下げの可能性はほぼ排除されている。
6月会合での利下げ警戒感が緩み、ポンドは底堅い動きが続いている。ただ、賃金動向を始めとする経済指標を点検しつつ、利下げ開始時期を見極める状況は変わらず、経済データ次第では次回8月会合での利下げ思惑が強まる可能性もある。今週発表の5月購買担当者景気指数(PMI)改定値は、製造業が51.2と速報値からわずかに下方修正され、サービス部門は速報値と変わらずの52.9となった。特にサービス部門の販売価格の伸びは3カ月連続で鈍化し、BOEの利下げ決断を後押しする内容とも言える。一部調査によると、5月の英消費は悪天候の影響や生活費の高騰で振るわず、消費者からは夏場に向けて支出を抑えているとの回答も多いようだ。
また、総選挙では現在の与党・保守党から最大野党・労働党へと14年ぶりの政権交代実現の可能性が高まっているが、市場の混乱を避けるために経済政策での変化は小さい見通しとなっている。2022年にトラス首相が就任直後に大規模減税策を発表し、ポンドが急落した過去がある。総選挙の相場への影響は限られると想定するも、関連のヘッドラインには注目したい。
加ドルはカナダ中銀(BOC)が追加利下げを示唆したことも重しに、上値の重い動きが見込まれる。BOCは今週、主要7カ国(G7)で先陣を切って利下げに踏み切り、政策金利を5.00%から4.75%に引き下げた。0.25%の利下げは市場予想通りの結果だったが、BOCは「インフレ緩和が続けば追加利下げの可能性がある」との見解を示した。次回会合は7月24日に予定されているが、今回の会合を受けて市場では7月会合での追加利下げ確率が3割超に上昇している。
来週、加ドル独自の新規材料は乏しく、対ドル・対円では日米金融政策イベントが注目される。政策金利はどちらも据え置きが織り込まれているが、日銀会合では一部で報じられているように「長期国債の買い入れ減額について議論する」のかどうか、FOMCではドット・プロットで利下げ予測に変化があるかどうかなどが注目されそうだ。
6月3日週の回顧
今週のポンドドルは英中銀が6月会合で利下げに踏み切るとの思惑が後退したことを下支えに1.27ドル割れで下げ渋り、1.28ドル近辺でしっかり。ドル/加ドルはBOC金融政策会合後に1.3740加ドル台まで加ドル安が進んだが、1.36加ドル台を中心に値動きは限られた。対円ではドル円の下落が重しとなるも、ポンド円は197円前半から200円手前まで持ち直し、加ドル円は113円割れで下げ渋った。(了)
◆ポンド、総選挙の影響薄も関連ヘッドラインには注目
◆加ドル、加中銀の追加利下げ示唆で重い動きが続くか
予想レンジ
ポンド円 197.00-202.00円
加ドル円 112.00-115.50円
6月10日週の展望
ポンドは20日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の金融政策会合を控え、今週は4月の雇用データやGDPなど注目経済指標の結果を見極める展開となる。もっとも労働需給は幾分和らいでいるが、賃金上昇圧力は依然高く、インフレ圧力の緩和には依然として時間を要するとの見方が強いなか、7月4日に総選挙を行うことが決定。6月会合での利下げの可能性はほぼ排除されている。
6月会合での利下げ警戒感が緩み、ポンドは底堅い動きが続いている。ただ、賃金動向を始めとする経済指標を点検しつつ、利下げ開始時期を見極める状況は変わらず、経済データ次第では次回8月会合での利下げ思惑が強まる可能性もある。今週発表の5月購買担当者景気指数(PMI)改定値は、製造業が51.2と速報値からわずかに下方修正され、サービス部門は速報値と変わらずの52.9となった。特にサービス部門の販売価格の伸びは3カ月連続で鈍化し、BOEの利下げ決断を後押しする内容とも言える。一部調査によると、5月の英消費は悪天候の影響や生活費の高騰で振るわず、消費者からは夏場に向けて支出を抑えているとの回答も多いようだ。
また、総選挙では現在の与党・保守党から最大野党・労働党へと14年ぶりの政権交代実現の可能性が高まっているが、市場の混乱を避けるために経済政策での変化は小さい見通しとなっている。2022年にトラス首相が就任直後に大規模減税策を発表し、ポンドが急落した過去がある。総選挙の相場への影響は限られると想定するも、関連のヘッドラインには注目したい。
加ドルはカナダ中銀(BOC)が追加利下げを示唆したことも重しに、上値の重い動きが見込まれる。BOCは今週、主要7カ国(G7)で先陣を切って利下げに踏み切り、政策金利を5.00%から4.75%に引き下げた。0.25%の利下げは市場予想通りの結果だったが、BOCは「インフレ緩和が続けば追加利下げの可能性がある」との見解を示した。次回会合は7月24日に予定されているが、今回の会合を受けて市場では7月会合での追加利下げ確率が3割超に上昇している。
来週、加ドル独自の新規材料は乏しく、対ドル・対円では日米金融政策イベントが注目される。政策金利はどちらも据え置きが織り込まれているが、日銀会合では一部で報じられているように「長期国債の買い入れ減額について議論する」のかどうか、FOMCではドット・プロットで利下げ予測に変化があるかどうかなどが注目されそうだ。
6月3日週の回顧
今週のポンドドルは英中銀が6月会合で利下げに踏み切るとの思惑が後退したことを下支えに1.27ドル割れで下げ渋り、1.28ドル近辺でしっかり。ドル/加ドルはBOC金融政策会合後に1.3740加ドル台まで加ドル安が進んだが、1.36加ドル台を中心に値動きは限られた。対円ではドル円の下落が重しとなるも、ポンド円は197円前半から200円手前まで持ち直し、加ドル円は113円割れで下げ渋った。(了)