週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、「骨太の方針」内容に注目
◆ドル円、日本の5月コアCPIと「骨太の方針」に注目
◆米5月小売売上高や日本の5月貿易収支にも注意
◆ユーロドル、6月のZEW景況指数や製造業・サービス業PMI速報値などに注目
予想レンジ
ドル円 154.00-159.00円
ユーロドル 1.0500-1.0900ドル
6月17日週の展望
ドル円は、日本の5月のコア消費者物価指数(CPI)で7月の日銀金融政策決定会合での利上げの可能性を探るほか、21日に公表予定の「経済財政運営と改革の基本方針(「骨太の方針」)」での円安抑制策を見極める展開が想定される。
岸田首相が5月10日の経済財政諮問会議で「最近の円安の動きを十分注視しており、政府・日銀は引き続き密接に連携していく」と述べたていることから、21日に閣議決定が予定されている「骨太の方針」での円安抑制策として「レパトリ減税策」が打ち出される可能性が警戒されている。減税の対象として想定しているのは、日本企業などが海外子会社などから得た「対外直接投資収益」の約20兆円とのことである。原案では、「金融政策は新しい段階に入った。政府・日銀が緊密に連携していく」などと言及されていた。リスクシナリオは、具体的な円安抑制策が打ち出されなかった場合であり、ドル買い・円売り圧力が強まることになるが、158円台に乗せた場合に本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入が実施されるのか否かにも警戒しておきたい。
また、日本の5月のコアCPIは前年比2.6%と予想されており、4月の2.2%からの上昇が見込まれている。5月輸入物価指数は6.9%と発表され、4月の6.6%から上昇していた。植田日銀総裁は、これまで円安による輸入物価上昇を起点としたコストプッシュ圧力である「第1の力」への警戒感を示してきており、日銀の追加利上げへの警戒感が高まることになっている。更には、日本の5月の貿易収支では、新NISAでの毎月1兆円超の円売り圧力に加えて、本邦実需筋の円売り圧力を確認することになりそうだ。
米国側では、5月の小売売上高は、予想外に横ばいだった4月から前月比0.3%の改善が見込まれており、予想通りならば、ドル買い要因となるだろう。
ユーロドルは、30日のフランス下院選挙への警戒感から上値が重い展開が予想される中、6月のZEW景況指数やユーロ圏製造業・サービス業PMI速報値で欧州の景況感を見極めることになる。ただ、欧州の政情不安から株式相場も下落基調にあるため、景況感が改善していてもユーロの上値は限定的だと予想している。
6月10日週の回顧
ドル円は米5月CPIが前月比±0.0%、前年比3.3%と予想を下回り、インフレ鈍化が再開する可能性が示されたことで、157.40円から155.72円まで下落したものの、FOMCでのドット・プロットの中央値が年内3回の利下げから1回へと修正されたこと、日銀金融政策決定会合で国債購入の減額計画が7月会合に先送りされたことで、157.98円台まで上昇した。
ユーロドルは、欧州議会選挙での右傾化やフランスの政局への警戒感から1.0720ドルまで下落。その後は1.0852ドルまで反発したものの、再び1.07ドル台前半まで反落している。(了)
◆米5月小売売上高や日本の5月貿易収支にも注意
◆ユーロドル、6月のZEW景況指数や製造業・サービス業PMI速報値などに注目
予想レンジ
ドル円 154.00-159.00円
ユーロドル 1.0500-1.0900ドル
6月17日週の展望
ドル円は、日本の5月のコア消費者物価指数(CPI)で7月の日銀金融政策決定会合での利上げの可能性を探るほか、21日に公表予定の「経済財政運営と改革の基本方針(「骨太の方針」)」での円安抑制策を見極める展開が想定される。
岸田首相が5月10日の経済財政諮問会議で「最近の円安の動きを十分注視しており、政府・日銀は引き続き密接に連携していく」と述べたていることから、21日に閣議決定が予定されている「骨太の方針」での円安抑制策として「レパトリ減税策」が打ち出される可能性が警戒されている。減税の対象として想定しているのは、日本企業などが海外子会社などから得た「対外直接投資収益」の約20兆円とのことである。原案では、「金融政策は新しい段階に入った。政府・日銀が緊密に連携していく」などと言及されていた。リスクシナリオは、具体的な円安抑制策が打ち出されなかった場合であり、ドル買い・円売り圧力が強まることになるが、158円台に乗せた場合に本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入が実施されるのか否かにも警戒しておきたい。
また、日本の5月のコアCPIは前年比2.6%と予想されており、4月の2.2%からの上昇が見込まれている。5月輸入物価指数は6.9%と発表され、4月の6.6%から上昇していた。植田日銀総裁は、これまで円安による輸入物価上昇を起点としたコストプッシュ圧力である「第1の力」への警戒感を示してきており、日銀の追加利上げへの警戒感が高まることになっている。更には、日本の5月の貿易収支では、新NISAでの毎月1兆円超の円売り圧力に加えて、本邦実需筋の円売り圧力を確認することになりそうだ。
米国側では、5月の小売売上高は、予想外に横ばいだった4月から前月比0.3%の改善が見込まれており、予想通りならば、ドル買い要因となるだろう。
ユーロドルは、30日のフランス下院選挙への警戒感から上値が重い展開が予想される中、6月のZEW景況指数やユーロ圏製造業・サービス業PMI速報値で欧州の景況感を見極めることになる。ただ、欧州の政情不安から株式相場も下落基調にあるため、景況感が改善していてもユーロの上値は限定的だと予想している。
6月10日週の回顧
ドル円は米5月CPIが前月比±0.0%、前年比3.3%と予想を下回り、インフレ鈍化が再開する可能性が示されたことで、157.40円から155.72円まで下落したものの、FOMCでのドット・プロットの中央値が年内3回の利下げから1回へと修正されたこと、日銀金融政策決定会合で国債購入の減額計画が7月会合に先送りされたことで、157.98円台まで上昇した。
ユーロドルは、欧州議会選挙での右傾化やフランスの政局への警戒感から1.0720ドルまで下落。その後は1.0852ドルまで反発したものの、再び1.07ドル台前半まで反落している。(了)