東京為替見通し=明日の本邦CPI発表前に動きにくいが円安地合継続、農中玉には警戒
昨日の海外市場でのドル円は、米国市場がジューンティーンスで休場のため、市場参加者が激減し商いは低調だったが、一時158.12円まで上昇した。ユーロドルは新規材料にも乏しく商いも低調で、安値は欧州時間に付けた1.0725ドル、高値は1.0753ドルで値幅は0.0028ドル程度と小さかった。
本日のドル円相場も底堅い動きになるだろうが、値動きは限定されそうだ。市場の値動きが限られるのは、明日に本邦の5月消費者物価指数(CPI)、その2営業日後に日銀が注目している「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」(刈込平均値、加重中央値、最頻値)などが公表されることで、インフレ指標の結果を見るまでは動きにくいことが要因。市場では生鮮食料品を除くコア指数は前年比で上昇予想、しかし、コア指数にエネルギーを省いたコアコア指数は前年比より低下予想になるなど、まちまちな予想になっている。また、補足インフレ指標は、先月にはそれぞれ大幅に低下したこともあり、これらのインフレ指標の詳細を見るまでは動きにくいだろう。ただし、リスクとしては市場予想よりもインフレが上昇していない場合になる。すでに日銀が次回7月の政策決定会合で、長期国債の買い入れの減額計画を発表し、短期金利の引き上げも示唆したことで、日銀自らが利上げのハードルを上げてしまった。よって、インフレ圧力は弱まった場合に、日銀のタカ派方針に変化が生じ、7月の減額計画などがとん挫する可能性もありそうだ。
一方で、円買い要因としては、農林中央金庫の動きが注目される。既報されているように、外債を10兆円売却することは決定済みのようだが、同金庫理事長はインタビューで、状況次第で米欧債の追加売却の可能性も示唆し、「通貨をドルやユーロから、(金利がついてきた)円に入れ替えることもある」と発言している。農林中央金庫は直接市場に出てくるだけではなく、本邦・外資系の各金融機関を通して、為替市場に円買いを仕掛けることが多々あるので、東京時間でも円が買われることも想定できる。
本日は本邦からは、対外対内証券投資以外は市場を動意づけるような経済指標等の発表予定はない。また、アジア・オセアニア国も、早朝に発表されたニュージーランドの1-3月期国内総生産(GDP)以外は主だった経済指標の発表は予定されていない。需給的には、本日は5・10日(ゴトー日)ということで、東京仲値の値決めにかけての実需勢の動きには警戒しておきたい。
なお、主要通貨の値動きは限られているが、南ア・ランドは連日上げ幅を大きく広げている。与党アフリカ民族会議(ANC)、第1野党民主同盟(DA)、インカタ自由党(IFP)を中心とした国民統一政府(GNU=Government of National Unity)が無事船出したことで、JPモルガンが南ア株の投資判断をアンダーウェイトからオーバーウェイトに引き上げたことも主要因。対円では2022年以来の水準まで上昇している。
(松井)
本日のドル円相場も底堅い動きになるだろうが、値動きは限定されそうだ。市場の値動きが限られるのは、明日に本邦の5月消費者物価指数(CPI)、その2営業日後に日銀が注目している「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」(刈込平均値、加重中央値、最頻値)などが公表されることで、インフレ指標の結果を見るまでは動きにくいことが要因。市場では生鮮食料品を除くコア指数は前年比で上昇予想、しかし、コア指数にエネルギーを省いたコアコア指数は前年比より低下予想になるなど、まちまちな予想になっている。また、補足インフレ指標は、先月にはそれぞれ大幅に低下したこともあり、これらのインフレ指標の詳細を見るまでは動きにくいだろう。ただし、リスクとしては市場予想よりもインフレが上昇していない場合になる。すでに日銀が次回7月の政策決定会合で、長期国債の買い入れの減額計画を発表し、短期金利の引き上げも示唆したことで、日銀自らが利上げのハードルを上げてしまった。よって、インフレ圧力は弱まった場合に、日銀のタカ派方針に変化が生じ、7月の減額計画などがとん挫する可能性もありそうだ。
一方で、円買い要因としては、農林中央金庫の動きが注目される。既報されているように、外債を10兆円売却することは決定済みのようだが、同金庫理事長はインタビューで、状況次第で米欧債の追加売却の可能性も示唆し、「通貨をドルやユーロから、(金利がついてきた)円に入れ替えることもある」と発言している。農林中央金庫は直接市場に出てくるだけではなく、本邦・外資系の各金融機関を通して、為替市場に円買いを仕掛けることが多々あるので、東京時間でも円が買われることも想定できる。
本日は本邦からは、対外対内証券投資以外は市場を動意づけるような経済指標等の発表予定はない。また、アジア・オセアニア国も、早朝に発表されたニュージーランドの1-3月期国内総生産(GDP)以外は主だった経済指標の発表は予定されていない。需給的には、本日は5・10日(ゴトー日)ということで、東京仲値の値決めにかけての実需勢の動きには警戒しておきたい。
なお、主要通貨の値動きは限られているが、南ア・ランドは連日上げ幅を大きく広げている。与党アフリカ民族会議(ANC)、第1野党民主同盟(DA)、インカタ自由党(IFP)を中心とした国民統一政府(GNU=Government of National Unity)が無事船出したことで、JPモルガンが南ア株の投資判断をアンダーウェイトからオーバーウェイトに引き上げたことも主要因。対円では2022年以来の水準まで上昇している。
(松井)