週間為替展望(ドル/ユーロ)-米利下げ観測一段と高まる

◆ドル、年内3回の利下げ観測も浮上
◆円、為替介入とも噂される急騰で市場の流動性は極端に悪化し乱高下
◆ユーロ、仏政局の先行き不透明感が一段と高まる

予想レンジ
ドル円   154.50-161.00円
ユーロドル 1.0650-1.1150ドル

7月15日週の展望
 ドル円は、米利下げ観測が高まったことでドルの上値の重さが意識されるなか、不安定な相場展開が想定される。昨日発表された6月米消費者物価指数(CPI)は前月比で2020年5月以来、4年ぶりにマイナスとなったほか、前年比でも2023年6月以来の低い伸び率となった。これを受けて年内3回の利下げ観測が浮上するなど、米金融緩和が加速するのではとの思惑からドルの上値はしばらく重くなりそうだ。

 また、米CPI後にドル円が4円超急落したことについて一部報道では「政府・日銀が為替介入を行った」とも伝わっている。円安の根本的な要因が覆されたわけではなく、効果は一時的との見方が大勢だが、市場の警戒感につながったことは確かだろう。急落後で市場の流動性が極端に悪化していることも考慮すると、ボラタイルな相場展開になることも考えられるだろう。

 来週は15日に7月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に6月小売売上高、17日に6月住宅着工件数や6月鉱工業生産、18日に7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数などが発表される。米利下げ観測が高まっていることもあり、指標に対して米金利やドルが過剰に反応する可能性もある点には十分注意したい。

 なお、9-10日に先行きの日銀による国債買入れの運営について意見を伺う「債券市場参加者会合」が開催され、メガバンクからは積極的な国債買入れ減額を求める声が多かった一方で、生保など機関投資家からは緩やかな減額が多く要求されていたことが分かった。結果的に、意見が集約されている訳ではないことが明らかになっただけで、日銀の今後の対応については不透明感が残る結果となった。まずは今月末の金融政策決定会合での決定を見極めることになるだろう。

 ユーロドルは、仏政情不安が台頭するものの、米利下げ観測から方向感をつかみづらい。仏総選挙の決選投票では第1回目投票で圧勝した極右政党「国民連合(RN)」がまさかの第3党にとどまり、左派連合が最大勢力となった。単独過半数の政党がいないハングパーラメントに陥り、連立政権の先行きには不透明感が高まっている。格付け会社ムーディーズは「大連立政権が樹立されれば意思決定や債務管理がより困難になる」とし、信用格付けにマイナスと警告している。

7月8日週の回顧
 ドル円は乱高下。欧米株高が支えとなり、週半ばには一時161.81円まで上値を伸ばした。ただ、低調な6月米CPI発表を受けて急落。政府・日銀による介入観測も指摘されるなか、一時157.44円まで大幅に値を下げた。一方、一巡後は反動から159円台前半まで反発している。

 ユーロドルは底堅い。仏総選挙の結果を消化しきれないまま1.08ドル台前半を中心にしばらくはもみ合いが続いた。ただ、弱い米CPIを受けて一時1.0900ドルまで上昇した。(了)
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