東京為替見通し=ドル円、トランプ第2次政権の可能性や円買い介入の可能性に要警戒か

 19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、世界規模で発生したシステム障害を受けて、投資家がリスク回避姿勢を強めたことで、欧州時間に156.96円まで値を下げたものの、米10年債利回りの上昇を受けて157円台半ばまで反発した。ユーロドルはシステム障害により1.0876ドルまで弱含み、日本時間夕刻に付けた日通し安値に面合わせした。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、バイデン米大統領の大統領選撤退表明によりトランプ第2次政権誕生の可能性が高まったことで、トランプトレード(ドル買い・米国債売り)と「トランプノミクスは低金利と関税。ドル高は問題」(トランプ前米大統領)を見極めていく展開となる。

 トランプ氏が11月の大統領選に勝利する可能性が高まったことで、減税や関税引き上げという公約が実施された場合、インフレ圧力が高まるとの見通しからトランプトレード(ドル買い・米国債売り)への警戒感が高まりつつあった。しかし、トランプ前米大統領は「トランプノミクスは低金利と関税」と述べ、米国がドル高により「大きな問題を抱えている」と述べている。

 先週のドル円は、次期米国大統領候補のトランプ前米大統領が「ドル高は問題」、次期首相候補の河野デジタル相が「円安は問題」とドル高・円安を牽制する発言を行ったことで、155.38円まで下落した。しかし、一目均衡表・雲(155.49-83円)が支持帯となり、157円台まで反発したことで、155円台の攻防の分岐点の底堅さが確認された。

 また、月末に退任予定の神田財務官は、今週25~26日にはブラジル、リオデジャネイロで開催されるG20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席するため、週後半から不在となる。しかしながら、ドル円は依然として、神田財務官がドル売り・円買い介入に踏み切った水準(157円~161円)で推移していることで、円買い介入の可能性には警戒しておきたい。

 ドル売り・円買い介入が実施された水準は、4月29日の第1弾が159円台、第2弾が157円台、5月2日の早朝の第3弾が157円台、7月11日の第4弾が161円台、7月12日の第5弾が159円前後、介入金額は合計15.4兆円程度だと推測される。

 神田財務官は、「投機によって円安になり、輸入物価が上がってしまい、国民の生活が脅かされるとしたら由々しきこと」と述べ、介入の回数や頻度に制限はないとの認識を示しながら、今後も為替介入を辞さない姿勢を強調している。

 投機筋の円売り圧力は、7月16日時点のIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円の売り持ちポジションは151072枚(×1250万円=約1.9兆円)までやや減少している。
 また、日銀が公表する外国銀行在日支店の本支店勘定はキャリートレード残高を示唆しているが、4月時点で10.8兆円規模となっている。
 1-6月の実需の円売りは、投資信託を通じた家計の円売り(新NISA少額投資非課税制度)が約6.1兆円、貿易赤字が約3.2兆円なので、9.3兆円となる。




(山下)
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