東京為替見通し=ドル円、日銀利上げ懸念とトランプ第2次政権でのドル安政策懸念で弱含みか
17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ前米大統領の発言「米国はドル高により大きな問題を抱えている」や河野デジタル相が円安是正のため日銀に政策金利を引き上げるよう求めたとの報道で156.07円まで下落した。ユーロドルは、トランプ前米大統領のドル高けん制発言やFRB高官によるハト派的な発言を受けて1.0948ドルまで上昇した。ユーロ円は170.71円まで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、月末の日銀金融政策決定会合での利上げ警戒やトランプ第2次政権でのドル安政策懸念などから軟調な展開が予想される。
昨日は、河野デジタル相が円安是正のため日本銀行に利上げを要求した、との報道を受けて、30-31日の日銀金融政策決定会合での国債買い入れ減額や利上げ懸念が高まり、円高要因となった。
トランプ前大統領の銃撃事件を受けて、トランプ氏が11月の大統領選に勝利する可能性が高まったことで、減税や関税引き上げという公約が実施された場合、インフレ圧力が高まるとの見通しからトランプトレード(ドル買い・米国債売り)への警戒感が高まりつつあった。しかし、トランプ前米大統領は「トランプノミクスは低金利と関税」と述べ、米国がドル高により「大きな問題を抱えている(big currency problem)」と述べたことがドル売り要因となった。
7月16日、トランプ氏は、足元の外国為替相場に関し「対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」と指摘して、米国の輸出企業にとってすさまじい負担だとの懸念を示した。その上で、米国製自動車の輸入が進まず、対米貿易黒字を抱える日本に対して不作法だと不満を漏らした。
4月23日には、トランプ氏は、ドルが対円で34年ぶりの高値を付けたことについて、米国の製造業にとって「大惨事だ(disaster)」と批判していた。そして、円安・ドル高の進行により米企業がビジネスを失い、外国での工場建設を余儀なくされると指摘し、こうした為替相場はバイデン大統領が事態を放置している証拠であり、日本や中国などの国々は今や米国をばらばらにする、と批判していた。
また、トランプ第2次政権が誕生した場合に、財務長官候補に挙がっているライトハイザー前通商代表部(USTR)代表は、第1次政権の時に、「プラザ合意」のようなドルの切り下げを主張していたドル安論者であり、今後もトランプ前大統領やライトハイザー前USTR代表の発言には注目しておきたい。
8時50分に発表される日本の6月貿易統計(通関ベース)では、6月の実需の円売り圧力と為替報告書で監視リスト入りの要因になった対米貿易黒字を確認することになる。
実需の1-6月期の円売りとしては、投資信託を通じた家計の円売り(新NISA少額投資非課税制度)が約6.1兆円となっており、貿易赤字が約4兆円前後なので、約10兆円規模となる。
投機筋の円売り圧力は、7月9日時点のIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円の売り持ちポジション(182033枚×1250万円=約2.3兆円)に示されているように過去最大規模となっており、神田財務官が円安の要因を投機的と指摘する根拠になっている。
また、日銀が公表する外国銀行在日支店の本支店勘定は円キャリートレード残高を示唆しているが、4月時点で10.8兆円規模となっている。
すなわち、海外投機筋の円売り持ち残高は、公表されている金額だけで、約13兆円となっており、ドルの下落トレンドが進めば、円買い圧力に転換するため注視していきたい。
10時30分の6月豪雇用統計では、失業率は4.0%と予想されており、5月と変わらず、新規雇用者数は2.00万人の増加と予想されており、5月の+3.97万人からの増加幅の減少が見込まれている。5月のように常勤雇用者が増えていた場合は、インフレ傾向が続いていることで、8月5-6日の豪準備銀行(RBA)理事会で利上げに舵を切る可能性もあるため、要注目となる。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、月末の日銀金融政策決定会合での利上げ警戒やトランプ第2次政権でのドル安政策懸念などから軟調な展開が予想される。
昨日は、河野デジタル相が円安是正のため日本銀行に利上げを要求した、との報道を受けて、30-31日の日銀金融政策決定会合での国債買い入れ減額や利上げ懸念が高まり、円高要因となった。
トランプ前大統領の銃撃事件を受けて、トランプ氏が11月の大統領選に勝利する可能性が高まったことで、減税や関税引き上げという公約が実施された場合、インフレ圧力が高まるとの見通しからトランプトレード(ドル買い・米国債売り)への警戒感が高まりつつあった。しかし、トランプ前米大統領は「トランプノミクスは低金利と関税」と述べ、米国がドル高により「大きな問題を抱えている(big currency problem)」と述べたことがドル売り要因となった。
7月16日、トランプ氏は、足元の外国為替相場に関し「対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」と指摘して、米国の輸出企業にとってすさまじい負担だとの懸念を示した。その上で、米国製自動車の輸入が進まず、対米貿易黒字を抱える日本に対して不作法だと不満を漏らした。
4月23日には、トランプ氏は、ドルが対円で34年ぶりの高値を付けたことについて、米国の製造業にとって「大惨事だ(disaster)」と批判していた。そして、円安・ドル高の進行により米企業がビジネスを失い、外国での工場建設を余儀なくされると指摘し、こうした為替相場はバイデン大統領が事態を放置している証拠であり、日本や中国などの国々は今や米国をばらばらにする、と批判していた。
また、トランプ第2次政権が誕生した場合に、財務長官候補に挙がっているライトハイザー前通商代表部(USTR)代表は、第1次政権の時に、「プラザ合意」のようなドルの切り下げを主張していたドル安論者であり、今後もトランプ前大統領やライトハイザー前USTR代表の発言には注目しておきたい。
8時50分に発表される日本の6月貿易統計(通関ベース)では、6月の実需の円売り圧力と為替報告書で監視リスト入りの要因になった対米貿易黒字を確認することになる。
実需の1-6月期の円売りとしては、投資信託を通じた家計の円売り(新NISA少額投資非課税制度)が約6.1兆円となっており、貿易赤字が約4兆円前後なので、約10兆円規模となる。
投機筋の円売り圧力は、7月9日時点のIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円の売り持ちポジション(182033枚×1250万円=約2.3兆円)に示されているように過去最大規模となっており、神田財務官が円安の要因を投機的と指摘する根拠になっている。
また、日銀が公表する外国銀行在日支店の本支店勘定は円キャリートレード残高を示唆しているが、4月時点で10.8兆円規模となっている。
すなわち、海外投機筋の円売り持ち残高は、公表されている金額だけで、約13兆円となっており、ドルの下落トレンドが進めば、円買い圧力に転換するため注視していきたい。
10時30分の6月豪雇用統計では、失業率は4.0%と予想されており、5月と変わらず、新規雇用者数は2.00万人の増加と予想されており、5月の+3.97万人からの増加幅の減少が見込まれている。5月のように常勤雇用者が増えていた場合は、インフレ傾向が続いていることで、8月5-6日の豪準備銀行(RBA)理事会で利上げに舵を切る可能性もあるため、要注目となる。
(山下)