東京為替見通し=ドル円、明日の日銀決定控え上値重いか 豪ドルは雇用統計に注目
12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を下回った5月米消費者物価指数(CPI)を受けて155.72円まで下落後、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果やパウエルFRB議長の発言を受けて156.90円付近まで反発した。ユーロドルは1.0852ドルまで上昇した後、1.0804ドル付近まで反落した。ユーロ円は169.59円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)を終えて米10年債利回りが4.3%台へ低下していることや本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合での金融政策正常化への警戒感から上値が重い展開が予想される。
昨日発表された日本の5月輸入物価指数は、前年比+6.9%となり、4月の同比+6.6%(修正値)から上昇していた。
植田日銀総裁は、これまで円安による輸入物価上昇を起点としたコストプッシュ圧力である「第1の力」への警戒感を示していたことで、本日からの日銀金融政策決定会合での円安対応としての金融政策正常化への警戒感を高めている。
市場のハト派的な見方は、政策金利(0.00~0.10%)の据え置きと国債買い入れオペ(※6兆円規模)の据え置き、あるいは5兆円程度までの減額となっている。タカ派的な見方は、0.15~0.25%程度の追加利上げと4兆円以下までの減額となっている。
植田日銀総裁、内田日銀副総裁、安達日銀審議委員は、さらなる金融政策正常化の可能性を示唆し、中村日銀審議委員は、金融政策正常化は時期尚早と述べていた。
FOMC声明文に関しては、「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然高止まりしている」という文言はタカ派と見なせる。一方で、「委員会が目指す2%のインフレ目標に向けては『緩慢なる一段の進展が見られた』(modest further progress)」と、従来の「一段の進展は見られていない」から変更されたことはハト派と見なせる。
また、ドット・プロット(金利予測分布図)では、年内の利下げ回数が3月時点の3回から1回に減り、長期的な金利の着地点の予想を2.8%と3月時点の2.6%から引き上げたことは、タカ派的と見なせる。すなわち、FOMCは、インフレ抑制のため、政策金利を高水準で長期間維持するという方針を示唆したことになる。
しかしながら、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始は、9月FOMCとなっており、12月FOMCでも追加利下げが見込まれており、年末のFF金利誘導目標4.75-5.00%と想定されている。
10時30分に発表される5月豪雇用統計の予想は、失業率が4.0%で4月の4.1%から改善が見込まれ、新規雇用者数は3.00万人の増加で4月の3.85万人増から増加幅の減少が見込まれている。4月の失業率は労働力人口が増えた影響で4.1%と3月の3.9%から上昇していたことで、豪準備銀行(RBA)理事会の利上げ観測が消滅し、12月の利下げ観測(※50%以上)が台頭していたが、5月の失業率が予想通りに低下した場合の利下げ確率の変化に注目しておきたい。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)を終えて米10年債利回りが4.3%台へ低下していることや本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合での金融政策正常化への警戒感から上値が重い展開が予想される。
昨日発表された日本の5月輸入物価指数は、前年比+6.9%となり、4月の同比+6.6%(修正値)から上昇していた。
植田日銀総裁は、これまで円安による輸入物価上昇を起点としたコストプッシュ圧力である「第1の力」への警戒感を示していたことで、本日からの日銀金融政策決定会合での円安対応としての金融政策正常化への警戒感を高めている。
市場のハト派的な見方は、政策金利(0.00~0.10%)の据え置きと国債買い入れオペ(※6兆円規模)の据え置き、あるいは5兆円程度までの減額となっている。タカ派的な見方は、0.15~0.25%程度の追加利上げと4兆円以下までの減額となっている。
植田日銀総裁、内田日銀副総裁、安達日銀審議委員は、さらなる金融政策正常化の可能性を示唆し、中村日銀審議委員は、金融政策正常化は時期尚早と述べていた。
FOMC声明文に関しては、「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然高止まりしている」という文言はタカ派と見なせる。一方で、「委員会が目指す2%のインフレ目標に向けては『緩慢なる一段の進展が見られた』(modest further progress)」と、従来の「一段の進展は見られていない」から変更されたことはハト派と見なせる。
また、ドット・プロット(金利予測分布図)では、年内の利下げ回数が3月時点の3回から1回に減り、長期的な金利の着地点の予想を2.8%と3月時点の2.6%から引き上げたことは、タカ派的と見なせる。すなわち、FOMCは、インフレ抑制のため、政策金利を高水準で長期間維持するという方針を示唆したことになる。
しかしながら、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始は、9月FOMCとなっており、12月FOMCでも追加利下げが見込まれており、年末のFF金利誘導目標4.75-5.00%と想定されている。
10時30分に発表される5月豪雇用統計の予想は、失業率が4.0%で4月の4.1%から改善が見込まれ、新規雇用者数は3.00万人の増加で4月の3.85万人増から増加幅の減少が見込まれている。4月の失業率は労働力人口が増えた影響で4.1%と3月の3.9%から上昇していたことで、豪準備銀行(RBA)理事会の利上げ観測が消滅し、12月の利下げ観測(※50%以上)が台頭していたが、5月の失業率が予想通りに低下した場合の利下げ確率の変化に注目しておきたい。
(山下)