株式明日の戦略-日銀マジック炸裂で大幅高、あすはトヨタの決算に注目

 31日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は575円高の39101円。30日の米国市場では3指数がまちまちで終えたが、エヌビディアが7%安となるなど半導体株が大きく下げた。また、引け後に決算を発表したマイクロソフトが時間外で大きく下落した。

 本日の日本経済新聞では、1面で日銀が追加利上げを検討し、政策金利を0.25%に引き上げる案が有力と報じた。これらのネガティブな材料を受けて、寄り付きは300円を超える下落。開始直後には下げ幅を500円超に広げた。ただ、節目の38000円を割り込んだところで売りが一巡すると、その後は下げ幅を縮めていった。

 日銀の結果発表には時間がかかったが、13時前に日経新聞の観測通り、政策金利を0.25%に引き上げることが発表された。発表直後には売り買いが交錯したが、次第にプラス圏が定着。追加利上げ決定でもドル円は円安に振れたことから、先週までの株安・円高は一服するとの期待が高まった。終盤にかけては半導体株に強い買いが入って上げ幅を拡大。39000円の節目を突破して39100円台に乗せ、500円を超える上昇で終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆5300億円。業種別では銀行、海運、証券・商品先物などが大幅上昇。下落は空運と輸送用機器の2業種のみで、サービスが小幅な上昇にとどまった。東京エレクトロン<8035.T>が終盤に強烈に買われて7.4%高と急騰。一部メディアでバイデン政権の対中半導体規則に関して、日本など同盟国が除外されると報じられたことが刺激材料になった。反面、1Qが最終赤字となったトプコン<7732.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1450/値下がり177。日銀が追加利上げに踏み切ったことを受けて、メガバンクの三菱UFJ、三井住友、みずほFGがそろって大幅上昇。1:5の株式分割を発表したTDKが買いを集めた。通期見通しの引き上げと増配を発表した商船三井が急伸し、同業の日本郵船と川崎汽船も連れ高。自動車部品関連が決算で強く買われており、愛三工業やデンソーが急騰した。

 一方、国交省が「是正命令」を出すと伝わったトヨタが下落。決算を受けてOLCや村田製作所が大幅安となった。日本M&Aセンター、M&Aキャピタル、M&A総研など、M&A関連の多くが決算を受けて急落。ストライクは3Q大幅増益や増配を受けて買われる場面もあったが、同業の多くが値を崩す中で失速し、6%近い下落で終えた。

 本日、スタンダード市場に新規上場したFaber Companyは、公開価格を大きく上回る初値をつけたが、終値は小幅ながら初値を下回った。

 日経平均は後場に入ってプラス転換。日銀は株安局面で追加利上げを実施し、それでいて発表後に買いを呼び込むことに成功した。日経新聞の観測報道を受けて開始直後には500円超下げているだけに、利上げが好感されたというわけではない。ただ、それまでに十分下げていたこともあり、正式決定では悪材料出尽くし感が強まった。引け間際には半導体株にポジティブな材料が飛び込み、1日を通しては大幅安から一転大幅高と派手な動きとなった。

 日銀が利上げに踏み切ったことで、投機的な円安が抑制される効果が期待できる。日銀が株安に歯止めをかけた格好となったことから、投資家のセンチメントも大きく改善すると思われる。今は決算発表まっただ中で、個別の材料には事欠かない。7月中旬に大きく崩れた半導体株にも強い買いが入った。本日、米国ではFOMCの結果が発表される。今回は政策金利据え置きに対する織り込みが進んでいるだけに、無難に消化できれば日本株には資金が入りやすくなるだろう。

 あすはトヨタ<7203.T>が決算を発表予定。足元の株価は下げ基調が続いており、円安が期待しづらくなっていることも逆風。ただ、株価の下落で値ごろ感は出てきている。この銘柄の動きが良くなってくれば、大型株主導で戻りを強める展開が期待できる。日本株買いに弾みをつける役割を果たしてくれるかに注目したい。
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