東京為替見通し=ドル円、米長期金利の低下で上値が重い展開か

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の低下を受けて147.57円まで下落した。ユーロドルは1.1030ドルまで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利の低下や週末23日の植田日銀総裁とパウエルFRB議長の発言への警戒感から上値が重い展開が予想される。

 ドル円は先週、15日のNY市場で良好な米7月小売売上高を受けた米10年債利回りの3.951%までの上昇で149.39円まで上昇したものの、8月2日の米7月雇用統計発表前の高値149.77円に届かなかった。16日には低調な米7月住宅関連指標や米10年債利回りの3.86%台までの低下で147.57円まで反落しており、米国の経済指標や10年債利回りに連れた「往って来い」となっている。

 日経平均株価が史上最高値42426.77円から8月5日の過去最大の下落幅での安値31156.12円までの下落から、16日には38143.55円まで戻しており、61.8%戻し38121.38円を達成している。一方でドル円は、161.95円から141.70円までの下落幅の38.2%戻し(149.44円)までで、半値戻し151.83円には未達であるため、東京株式市場と為替市場の先見性にも注目していきたい。

 ドル円は、7月31日の植田日銀総裁による金利の壁0.50%以上の追加利上げ示唆とパウエルFRB議長の9月FOMCでの利下げ開始示唆を受けて、下げトレンドに拍車がかかった。今週末の23日に植田日銀総裁は、衆議院財務金融委員会での閉会中審査で利上げに関する意見聴取が予定されている。パウエルFRB議長はジャクソンホール会合で講演が予定されていることで、両者の見解が7月31日と同じなのか否かを見極めることになる。

 なお、ドル円が1986年12月以来の高値161.95円(7月3日)まで上昇した局面では、IMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円のネット売り持ちポジションは184223枚(7月2日時点)だったが、8月13日時点では23104枚のネット買い持ちポジションになっていた。

 過去最大の円の売り持ちポジションは、2007年6月26日時点の188077枚(※6月22日:124.14円)だったが、その後、米国の住宅バブル崩壊やリーマンショックなどで100円を割り込んでいった。
 
 ドル円の注目水準は、上昇トレンドの中期支持線(127.23円を起点に140.25円を経由)だった149.02円、下落幅(161.95円~141.70円)の38.2%戻しの149.44円、半値戻しの151.83円、52週移動平均線の150.69円、200日移動平均線の151.39円となる。



(山下)
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