東京為替見通し=ドル円、日米金融政策や米国大統領選の不透明感から動きづらい展開か

 22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州時間に一時156.29円まで下落したものの、欧米株価の上昇や米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いで157.17円付近まで下値を切り上げた。ユーロドルは米長期金利上昇で1.0873ドルまで弱含みに推移した。ユーロ円は欧州時間の安値170.06円から171.15円付近まで下値を切り上げた。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、30-31日の日米金融政策決定会合に向けて動きづらい展開の中、ハリス米副大統領を軸にした民主党陣営とトランプ共和党陣営との対決が不透明なこともあり、157円付近での動意に乏しい展開が予想される。

 現状のドル円水準は、26日間の中心値である基準線(158.67円)、9日間の中心値である転換線(158.57円)、50日移動平均線(158.05円付近)の下、支持帯である雲の上限(156.31円)、90日移動平均線(156.11円付近)の上にあり、上下どちらかに放れる材料待ちとなっている。

 30-31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが確実視されているものの、ウォール街からは、6月の消費者物価指数(CPI)が前月比-0.1%まで低下していたことで、利下げ開始を9月FOMCまで待つ必要はないのではないか、との見解が聞かれている。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は9月FOMCとなっており、11月と12月FOMCでも追加利下げが見込まれており、年末のFF金利誘導目標4.50-75%と想定されている。
 ちなみに、トランプ前大統領は、大統領選挙が行われる11月まで利下げをしないように牽制している。

 30-31日の日銀金融政策決定会合では、国債買い入れの減額計画が発表される予定だが、植田日銀総裁が「相応の規模」と示唆していたものの、サプライズとはならない規模となり、追加利上げは先送りされると見込まれている。

 バイデン米大統領が大統領選からの撤退を表明したことで、第2次トランプ政権誕生の可能性が高まったと思われるものの、ハリス副大統領との対決においては、形成逆転の可能性も浮上してきている。

 第2次トランプ政権誕生の可能性が高まった場合は、トランプトレードのドル買い観測と「トランプノミクス2は低金利と関税。ドル高は問題」(トランプ前米大統領)によるドル売り観測を見極めていくことになる。しかし、ハリス第47代米大統領誕生の可能性もあり、バイデン民主党路線の継承も想定せざるを得ないことで、市場の方向感が無くなりつつある。

 さらに、現状のドル円相場は、神田財務官が今年、ドル売り・円買い介入に踏み切った水準(157円~161円)で推移していることで、月末の退任を控えて、最後の円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
 神田財務官は、昨日、25~26日にブラジル、リオデジャネイロで開催されるG20・G7財務大臣・中央銀行総裁会議での議論内容に言及していたが、157円台での円相場を牽制する発言はなかった。


(山下)
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