ロンドン為替見通し=ユーロドル、下値リスクを警戒しながらの取引か

 本日のロンドン為替市場では、昨日同様にリスクセンチメントの強弱を見定めながらもユーロドルの下値リスクを警戒しながらの取引か。ポンドドルは序盤に発表される7月分の英経済指標が注目される。

 米長期金利の低下にもかかわらず、昨日のユーロドルは3日続落と地合いの弱いままだった。欧州株安を受けて軟調だったユーロ円に引きずられた面も大きく、本日も株式市場の動向を注視する必要があるだろう。

 昨日は欧州景気の弱さを示すようなニュースが伝わった。ドイツの大手自動車メーカー・フォルクスワーゲン(VW)が、国内労働者向けの雇用保障協定を破棄する方針と報じられた。同社は先週、創業以来で初となる国内工場閉鎖の検討を明らかにしていた。経済大国ドイツを象徴する企業の1つVWがコスト削減を進める必要があるということは、同国の競争力後退が深刻だということだろう。ドイツ労働市場全体に与える影響を今後も見極めることになる。

 ポンドドルは昨日1.31ドル台に乗せたところで頭を抑えられ、1.30ドル半ばまで下押す場面があった。序盤に発表された5-7月分の英平均賃金(除賞与)は前年比5.1%と約年ぶりの水準まで鈍化した。同時期の失業率(ILO方式)は4.1%と予想に沿った結果だったものの、前回分からの改善が続いた。

 本日も序盤に、7月英の国内総生産(GDP、前月比)や鉱工業生産が発表予定。月次GDPは小幅プラスを回復し、鉱工業生産は前年比マイナス幅を縮小する見込み。昨日に賃金インフレの鈍化基調は確認できたものの、労働市場は底堅さを示した。そういったなか本日、英経済成長へのポジティブな兆候が見られるようだと、英中銀の利下げペースの緩みが意識されるかもしれない。

想定レンジ上限
・ユーロドル、9日高値1.1091ドル
・ポンドドル、日足一目均衡表・転換線1.3144ドル

想定レンジ下限
・ユーロドル、8月15日安値1.0950ドル
・ポンドドル、8月20日1.2975ドル


(小針)
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