株式明日の戦略-来週後半は需給イベントや政治イベントで乱高下も

 20日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は568円高の37723円。米国株が買われたことを受け、日経平均も大幅高で始まった。昼に日銀会合の結果公表を控えるなかでも、前場は700円を超える上昇。政策金利は現状維持と予想通りの結果だったが、後場はやや上げ幅を縮めて始まった。3連休を前に終盤にさらに上げ幅を縮めたものの、12営業日ぶりに25日線を上回って終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆9200億円。騰落銘柄数は値上がり1077/値下がり504となった。業種別では、石油・石炭、非鉄金属、電気機器などが大きく上昇。下落は電気・ガス、陸運、海運、倉庫・運輸関連の4業種のみだった。

 売買代金上位では、米半導体株指数の大幅高を好感して、レーザーテックを中心に半導体関連が堅調に推移した。フジクラや川崎重工業の上昇が目立ったほか、ファーストリテイリングが直近高値を更新し、4月につけた上場来高値に迫る動きとなった。一方、NTTやKDDIなど通信の一角が売りに押されたほか、メルカリが利益確定売りで4日ぶりに下落した。

 プライム市場の値上がり率上位では、エムスリーによるTOBが発表されたエランがストップ高となり、未定だった中間配当予想を前期から増額で発表した水戸証券が急騰。半導体関連ではタツモや中国企業の子会社化を発表したRSテクノロジーズの上昇が目立った。レゾナックは電炉用黒鉛電極の価格底入れへと伝わり、黒鉛電極大手の東海カーボンにも買いが波及した。一方、値下がり率上位では、西武HDが前日の大幅反発から一転して12%を超える大幅反落。上期の連結営業利益が大幅減益見込みと発表したSANKYOが急落した。

【来週の見通し】
 東京株式市場は月末・四半期末、半期末の直前週となり、需給面で変動が大きくなる公算が大きい。週前半は材料難の中、米主要指数の動向や為替市場の動向に神経質な展開が予想される。米国市場で史上最高値を更新したダウ平均やS&P500に高値警戒感が台頭する場合でも、ハイテク株主体のナスダックや半導体株指数にキャッチアップする動きがみられれば日本株には追い風になる。

 物色面では、リターン・リバーサルの動きが予想され、これまでの9月のパフォーマンスを見る限りでは、下落率が相対的に大きい銀行や保険、証券など金融セクターに見直し買いが予想される。また、9月期末の配当・優待取り狙いの買いも入りやすい。

 週後半は27日が権利落ち日となり、地合いによっては配当・優待確定後の売りが予想される。一方、今週の最大の関心事である27日に投開票の自民党総裁選に注目が集まりそうだ。誰が選ばれても市場の反応は未知数であるが、経済成長を重視する高市早苗経済安保相が次期自民党総裁に選出された場合はご祝儀相場に発展する可能性が高い。

 2021年の自民党総裁選も9月の権利落ち日であった。当時の状況を振り返ると、配当落ちの影響もあり、日経平均は500円超下げて始まり下げ幅を拡大。アジア株安を横目で見ながら、前場のうちに29300円台に突入した。下げ幅を800円超に広げた後はいったん売り圧力が和らぎ、後場に入るとしばらく模様眺めムードの強い地合いが続いた。総裁選の結果が伝わり、決選投票となることが決まったが、大方の予想に反して1位となったのは岸田文雄氏。意外と受け止められたか、結果直後に下げ幅を急速に広げ、14時14分にこの日の安値をつけた。弱い反応は一時的にとどまったが、結局は600円を超える下落幅となり、その後は10月6月まで下落が続いた。

 需給イベントも重なる。26日の権利付き最終日や27日の権利落ち日などに年金資金などTOPIXをベンチマークとする大口投資家による「配当再投資」に伴う先物買いが入る。年金資金などを運用・管理する信託銀行などが、運用ポートフォリオに占める株式資産の配当落ちによる目減りを補うため、機械的にTOPIX先物に買いを入れるためだ。大和証券では、日経平均で261円、TOPIXでは25.3ptsの配当落ちを予想しており、パッシブ連動資産がすべて配当落ちに伴う先物買いに動いた場合、日経平均先物で2000億円弱、TOPIX先物で1兆1000億円程度の買い需要を予想している。
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