東京為替見通し=ドル円、日銀の早期利上げ観測後退で底堅い展開か

 2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州市場での石破首相発言「現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」を受けた上昇に加え、9月ADP全米雇用報告が14.3万人増だったことで、米長期金利の上昇とともに146.51円まで上昇した。ユーロドルは良好な米雇用指標を受けて米10年債利回りが3.81%台まで上昇したことで1.1033ドルまで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日銀の早期の追加利上げ観測の後退で上昇が見込まれる日経平均株価やリフレ派の野口日銀審議委員の講演などで底堅い展開が予想されるものの、中東の地政学リスクへの警戒感や明日発表の米9月雇用統計を控えて上値は限定的だと予想される。

 ドル円が140円を割り込んだ要因は、日銀の早期の追加利上げ観測と米連邦公開市場委員会(FOMC)での雇用情勢悪化を受けた0.50%の大幅追加利下げ観測だった。

 昨日は、石破首相と植田日銀総裁の会談での早期利上げに対する慎重姿勢を受けて、27日の衆議院議員選挙直後の10月30-31日の日銀金融政策決定会合での利上げの可能性はほぼなくなったと思われる。

 11月6-7日のFOMCでの追加利下げ幅(0.25%か0.50%)に関しては、明晩発表される米9月雇用統計を見極めることになる。

 ドル円は、9月27日午後の「高市ショック」で146.49円まで上昇した後、30日には「石破ショック」で141.65円まで反落し、昨日は「逆石破ショック」で146.51円まで、今朝は146.90円上昇しており、「政治相場」が続いている。

 昨日は、石破首相が、植田日銀総裁との会談の後、日本銀行の金融政策について、「現在、追加の利上げをするような環境だとは思っていない」と述べた。
 植田日銀総裁も、「2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく」と、9月の日銀金融政策決定会合後のややハト派的な見解を繰り返した。

 10時30分からのリフレ派の野口日銀審議委員の講演では、7月の日銀金融政策決定会合で利上げに反対した理由「賃金上昇の広がりによる経済状況の改善を、データをみてより慎重に見極める必要がある」の説明が予想される。

 中東の地政学リスクに関しては、イスラエルが「数日内にイランに報復攻撃」と報じられていることで、昨年ハマスが奇襲攻撃を断行した「10月7日」を念頭に警戒しておきたい。

(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。