週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米大統領選挙とFOMCを注視

◆ドル円、米大統領選とFOMCを注視
◆ドル円、首班指名選挙に向けた新たな連立枠組みなどに注目
◆ユーロドル、ユーロ圏の9月生産者物価指数や小売売上高を見極め

予想レンジ
ドル円   149.00-155.00円
ユーロドル 1.0600-1.1000ドル

11月4日週の展望
 ドル円は、5日の米大統領・上下両院議会選挙の結果や6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げの有無に注目する展開となる。大統領選挙では、トランプ共和党候補とハリス民主党候補のどちらが勝利しても、両者が減税と拡張的な財政政策を公約に掲げているため、米長期金利の上昇基調が続き、ドル買い要因。また、トランプ候補が勝利し、上下両院も共和党が勝利する、いわゆる「レッド・スウィープ」となった場合は、関税引き上げや減税、大規模な財政出動によるインフレ率の上昇の可能性が高まるため、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)がさらに活発化しそうだ。ドル円が160円付近まで上昇した場合には、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性が意識されるか。ただトランプ候補は一方で、米国の製造業を保護するため、関税の引き上げに加えて、ドル高を抑制する姿勢を示している。財務長官候補のポールソン氏も、2025年末のFF金利を2.50-3.00%と予想していたことは留意しておきたい。
 
 さらにトランプ政権誕生の場合、ウクライナへの支援停止やイスラエルによるイランの石油・核関連施設への攻撃の可能性が高まることから、引き続き地政学リスクには警戒だろう。また米格付け会社ムーディーズは、どちらの候補が当選しても米国の財政状況は弱体化する可能性が高いと指摘。大統領選後に米国の信用格付け引き下げを警告している。
 FOMCではFF金利の0.25%の追加利下げが見込まれているが、リスクシナリオとしては、トランプ候補が勝利した場合、インフレ期待が上昇することにより金利が据え置かれる可能性があることだろう。

 日本の政局では、11日に予定されている特別国会での首班指名選挙に向けて、様々なオプションが想定されるなか、新たな連立政権の枠組みなどに注目しておきたい。
 
 ユーロドルは、ウクライナ戦争の激化懸念やトランプ政権誕生の場合の関税引き上げへの警戒感から下値リスクが高まりつつある。ユーロ圏9月の生産者物価指数や小売売上高を見極め、12月欧州中央銀行(ECB)理事会での追加利下げの可能性を探る展開となるだろう。

10月28日週の回顧
 ドル円は、政治的な不確実性の高まりから日銀の早期利上げ観測が後退するなか、米長期金利の上昇などにつれて週初に一時153.88円まで買われた。ただ、日銀が政策の維持を決定したものの、展望リポートではタカ派的な文言が維持されたほか、植田日銀総裁の会見もタカ派的だったことなどから151.79円まで反落している。
 ユーロドルは、ショートカバー中心の動き。1.0769ドルで2番底を確認した後、独国債利回りの上昇などにつれて1.0888ドルまで買戻された。(了)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。