週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米重要指標に注目

◆ドル円、米雇用統計をはじめ重要指標が目白押し
◆ドル円、PBOCによる大規模金融緩和を受けた上海株の動向にも注目
◆ユーロドル、月末・四半期末に絡んだフローに注意

予想レンジ
ドル円   142.00-147.00円
ユーロドル 1.1000-1.1300ドル

9月30日週の展望
 ドル円は、米経済指標の結果を受けた利下げ観測の変化に一喜一憂する展開になりそうだ。9月消費者信頼感指数や8月新築住宅販売件数など、通常相場に大きく影響を与えない米指標に今週は大きく反応したことをみると、米金利先行きに対する市場の気迷いが窺われる。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が0.50%の利下げについて「FOMCが今後継続するペースだと想定すべきではない」と釘を刺したにも関わらず、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%利下げ予想が依然として5割を維持しており、市場との認識の相違が鮮明となっている。

 また、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁やボスティック米アトランタ連銀総裁が今後の大幅利下げについて否定的な見解を示した一方、グールズビー米シカゴ連銀総裁は大幅利下げについて賛同する姿勢を示すなど、FRBメンバーの中でも意見が分かれており、今後の利下げ見通しについて不透明感が高まっている。そうなると今後は経済データに一段の注目が集まることになり、来週は10月1日に8月JOLTS求人件数や9月ISM製造業景況指数、同月2日は9月ADP雇用統計、翌3日に9月ISM非製造業景況指数、4日には9月雇用統計と重要指標が目白押しだ。特に雇用統計に関しては結果次第で乱高下となる可能性が高いことに注意したい。

 円相場については、27日の自民党総裁選での新首相誕生を受けた週明けの為替・株価動向を見極める必要があるだろう。また、上海株の動向にも注目。24日に中国人民銀行(PBOC)が大規模な金融緩和策を発表したことで上海株が続伸しているが、来週も強い地合いを維持できるかどうかがカギとなる。市場では「期待が先行し過ぎているのでは」との懸念も浮上するなか、株価が崩れれば一気に円買い戻しの動きが強まりそうだ。

 ユーロドルは、米指標の結果を受けたドルの強弱に振らされることが想定される。また、ユーロポンドなどを中心に月末・四半期末に絡んだ特殊なフローにも警戒が必要だろう。来週は30日にラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の議会証言、10月1月に欧州各国の製造業PMI改定値、翌2日にサービス部門PMI改定値の発表が予定されている。

9月23日週の回顧
 ドル円は144円を挟んだ方向感のない動きから、24日には弱い米経済指標が相次いだことで米長期金利の低下とともに下落。25日の早朝には一時142.91円まで下押しした。ただ、中国の金融緩和政策をきっかけにリスクオンの円売りが進むと、一時145.21円まで上値を伸ばした。

 ユーロドルは仏・独・ユーロ圏の9月PMI速報値が悪化したため1.1083ドルまで下落したが、一巡するとリスクオンの流れから反発。25日には一時1.1214ドルと昨年7月20日以来の高値を付けた。その後は月末・四半期末に絡んだフローで上下しながらも1.11ドル台を維持した。(了)

(小針)
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