ロンドン為替見通し=英国や南アの10月インフレ指標に注目、ウ・露情勢も注意

 本日のロンドン為替市場では、まずは序盤に発表される10月英インフレ指標を受けたポンドの動きが注目される。南アフリカからも同月インフレデータが発表され、こちらも南ア・ランドの動意に繋がりそうだ。また、昨日相場の波乱要因となったウクライナ・ロシア戦争を巡る動向にも、依然として注意が必要だろう。

 日本時間16時発表の10月英消費者物価指数(CPI)は、前年比2.2%上昇と前回から0.5ポイント加速が予想されている。前回は市場予想を下回り、英中銀(BOE)インフレ目標2%の下で鈍化基調を強めた。しかしながら今日の結果次第では、再びインフレ圧力の高まりが意識されそうだ。

 昨日の英金融当局者による議会証言では、ベイリーBOE総裁が政府予算案の税制変更の影響を見定めたいとし、追加利下げは慎重に進める必要があると言及。その他の複数当局者も、新たな税負担増がインフレに影響を及ぼす可能性を指摘した。ベイリー総裁はまた「サービスインフレは依然として目標と一致していない」と述べており、9月分では2022年春以来の5%割れを実現したCPIサービス部門(前年比)の結果にも目を向けておきたい。

 10月南アCPIは、前年比3.1%上昇と前回から0.7ポイント鈍化見込みだ。市場予想に沿った結果であれば2021年前半以来の3%割れも視野に入ってくる。明日には南ア中銀(SARB)が政策金利を公表するため、予想(現行8.00%から7.75%に引き下げ)に影響を与える結果となるか市場の目が集まる。

 ウクライナ・ロシア戦争の関連報道にも気を付けておく必要がある。昨日序盤に強まった地政学リスクへの警戒感は、NY時間に入ると急速に後退した。ロシアとしても、北朝鮮の支援さえも受け始めており、北大西洋条約機構(NATO)と本気で事を構えることも思えない。ウクライナを支援する米国も、核攻撃をちらつかせ始めたロシアを必要以上に刺激したくないだろう。

 しかしながら、戦争の早期終結を声高に叫ぶトランプ氏が米大統領に就任する前に、ウクライナができるだけ勢力を回復したいと考えていてもおかしくはない。昨日のように米国や西側が供与した兵器でロシア領内への攻撃が続くようだと、プーチン露大統領が核使用基準の更なる緩和に動く懸念は残る。

想定レンジ上限
・ポンドドル、200日移動平均線1.2820ドル
・ランド円、11日高値8.74円
・ユーロドル、日足一目均衡表・基準線1.0717ドル

想定レンジ下限
・ポンドドル、15日安値1.2597ドル
・ランド円、昨日安値8.45円
・ユーロドル、14日安値1.0497ドル

(小針)
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