NY為替見通し=ドル円は堅調か、米重要指標弱い結果でもドル売りには反応鈍いか

 本日のNY時間のドル円は、引き続き下値の堅さは変わらないか。昨日の米連邦公開市場委員(FOMC)では市場予想通りに利下げをしたものの、ドット・プロットでは、2025年末時点の中央値が上方修正され、利下げ回数が2回と前回9月の見通しから半減した。更にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見でも「タカ派的な利下げ」であったことも確認された。

 一方で、本日行われた日銀の金融政策決定会合では市場予想通り据え置いただけではなく、植田日銀総裁の会見では「来年の春闘などの情報も必要」と発言するなど。10-11月頃に噂されていた12月か1月の利上げがさらに先延ばしになる可能性が高まり、早くて3月(18-19日)かそれ以後になるだろう。米国の早期利下げ観測後退と日銀の早期利上げ観測後退によりドル円は底堅い動きになると思われる。

 また、植田総裁の発言ではタカ派ではなかったばかりか、円安の影響についても「輸入物価の対前年比は落ち着いている」と複数回質疑応答で繰り返したことで、さほど円安の影響を懸念していないような回答だったことも円売りを促しそうだ。これまでも、植田日銀総裁は前言撤回が早いことで、すぐに修正される可能性は否定できないが日銀総裁の円安警戒感の後退がドル円の支えになりそうだ。

 なお、本日は米国から通常は市場が敏感に反応する多数の経済指標(7-9月期米GDP確定値、同期米個人消費(PCE)確定値、前週分の米新規失業保険申請件数及び失業保険継続受給者数雇用指標、12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数ほか)が発表される。ただ、昨日のFOMC後の結果を踏まえると、指標結果が弱い場合でも市場の反応が鈍くなると思われる。一方で、強い指標結果につながった場合のドル買いには敏感に反応しやすいと思われる。
 

・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは、7月12日のNY時間で観測された為替介入水準158.40円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値は、植田日銀総裁会見前の高値155.47円。


(松井)
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