東京為替見通し=ドル円、米金利上昇で堅調推移 豪ドルは豪11月CPIに要注目
7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、良好な米経済指標を受けて米10年債利回りが上昇したことで158.42円とアジア時間の高値に面合わせした。トランプ次期米大統領の発言「金利は高すぎる」で一時157.59円付近まで伸び悩む場面もあったが、一巡後は158円台を回復した。ユーロドルは米長期金利の上昇で1.0340ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期債利回りの上昇を背景に堅調推移が予想される。ただし、トランプ次期米大統領のドル高牽制発言や本邦通貨当局による円安抑制発言、円買い介入の可能性には引き続き警戒しておきたい。
トランプ次期米大統領は昨日「金利は高すぎる」と発言したが、今後はドル高・円安を牽制する発言に警戒しておきたい。トランプ氏は、昨年4月にドル円が34年ぶりの高値を更新して154円台に乗せた際に、「アメリカの製造業にとって大惨事」と述べていた。
また、トランプ氏は日本製鉄によるUSスチールの買収に反対してきており、「関税の引き上げによってはるかに儲かり、価値のある会社になるというのに、誰がUSスチールを売りたいと思うだろうか」と述べ、製造業保護のための関税引き上げを強調していた。
昨日のドル円は、新NISA絡みの円売りで158円台に乗せた模様だが、加藤財務相が「投機的な動向含め為替市場の動向を憂慮、行き過ぎた動きに対しては適切に対応」と牽制したことなどで上値は抑えられた。しかし、円買い介入を予告する「断固たる措置」という牽制発言ではなかったため158円付近で高止まりしている。
植田日銀総裁が、第2次トランプ米政権の関税政策や春闘での賃上げのモメンタムという「ワンノッチの情報」を見極めるスタンスを示したことで、今月の日銀金融政策決定会合での追加利上げはない、との見立てから円売りが進んでいる。しかし、OIS市場が示す追加利上げ確率は47%へ上昇し、新発10年物国債の利回りも一時1.135%まで上昇したことで、債券市場が発している追加利上げへの警戒シグナルには注目しておきたい。
投機筋のポジションを示唆するIMM通貨先物の投機部門取組の昨年12月31日時点(※NY市場終値157.20円)の円の持ち高は、8443枚のネット円売り持ちに過ぎず、現状のドル高・円安が投機筋ではなく実需主導であることが示されている。
ちなみに、昨年4月23日時点では179919枚、7月2日時点では184223枚となっており、それぞれ、4月29日と5月1日、7月11日と12日に、本邦通貨当局による投機的な円売りを抑えるという名目でのドル売り・円買い介入(※覆面介入)が断行されている。
2024年4月、5月、7月の円買い介入は以下の通りとなっており、介入の警戒ゾーンに入りつつある。
■4月29日:5兆9185億円(介入時間帯:日本時間14時頃 東京市場は昭和の日で休場)
・IMMネット円売り持ち高:179919枚(※4/23)
・ドル円:高値160.17円から安値154.54円まで5.63円下落
■5月1日:3兆8700億円(介入時間帯:日本時間午前5時頃)
・IMMネット円売り持ち高:179919枚(※4/23)
・ドル円:高値157.99円から安値153.04円まで4.95円下落
■7月11日:3兆1678億円(介入時間帯:日本時間午後21時半頃)
・IMMネット円売り持ち高:7/2=184223枚、7/9=182033枚
・ドル円:高値161.76円から安値157.44円まで4.32円下落
■7月12日:2兆3670億円(介入時間帯:日本時間午後22時頃)
・IMMネット円売り持ち高:7/2=184223枚、7/9=182033枚
・ドル円:高値159.45円から安値157.38円まで2.07円下落
9時30分に発表される11月豪消費者物価指数(CPI)は前年比+2.2%と予想されており、10月の同比+2.1%からの上昇が見込まれている。10月のコアCPIは同比+2.4%で9月の同比+2.7%から伸び率が鈍化していたものの、豪準備銀行(RBA)が注視するコアインフレ率(トリム平均値)は同比+3.5%で、9月の+3.2%から上昇していた。RBAのインフレ目標2~3%からの乖離が拡大したことで、利下げのハードルが上がっていた。
今年5月に豪連邦議会選挙が予定されており、それまではRBAは利下げに踏み切らないとの見方もあるため、ブロックRBA総裁の発言などを注視していきたい。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期債利回りの上昇を背景に堅調推移が予想される。ただし、トランプ次期米大統領のドル高牽制発言や本邦通貨当局による円安抑制発言、円買い介入の可能性には引き続き警戒しておきたい。
トランプ次期米大統領は昨日「金利は高すぎる」と発言したが、今後はドル高・円安を牽制する発言に警戒しておきたい。トランプ氏は、昨年4月にドル円が34年ぶりの高値を更新して154円台に乗せた際に、「アメリカの製造業にとって大惨事」と述べていた。
また、トランプ氏は日本製鉄によるUSスチールの買収に反対してきており、「関税の引き上げによってはるかに儲かり、価値のある会社になるというのに、誰がUSスチールを売りたいと思うだろうか」と述べ、製造業保護のための関税引き上げを強調していた。
昨日のドル円は、新NISA絡みの円売りで158円台に乗せた模様だが、加藤財務相が「投機的な動向含め為替市場の動向を憂慮、行き過ぎた動きに対しては適切に対応」と牽制したことなどで上値は抑えられた。しかし、円買い介入を予告する「断固たる措置」という牽制発言ではなかったため158円付近で高止まりしている。
植田日銀総裁が、第2次トランプ米政権の関税政策や春闘での賃上げのモメンタムという「ワンノッチの情報」を見極めるスタンスを示したことで、今月の日銀金融政策決定会合での追加利上げはない、との見立てから円売りが進んでいる。しかし、OIS市場が示す追加利上げ確率は47%へ上昇し、新発10年物国債の利回りも一時1.135%まで上昇したことで、債券市場が発している追加利上げへの警戒シグナルには注目しておきたい。
投機筋のポジションを示唆するIMM通貨先物の投機部門取組の昨年12月31日時点(※NY市場終値157.20円)の円の持ち高は、8443枚のネット円売り持ちに過ぎず、現状のドル高・円安が投機筋ではなく実需主導であることが示されている。
ちなみに、昨年4月23日時点では179919枚、7月2日時点では184223枚となっており、それぞれ、4月29日と5月1日、7月11日と12日に、本邦通貨当局による投機的な円売りを抑えるという名目でのドル売り・円買い介入(※覆面介入)が断行されている。
2024年4月、5月、7月の円買い介入は以下の通りとなっており、介入の警戒ゾーンに入りつつある。
■4月29日:5兆9185億円(介入時間帯:日本時間14時頃 東京市場は昭和の日で休場)
・IMMネット円売り持ち高:179919枚(※4/23)
・ドル円:高値160.17円から安値154.54円まで5.63円下落
■5月1日:3兆8700億円(介入時間帯:日本時間午前5時頃)
・IMMネット円売り持ち高:179919枚(※4/23)
・ドル円:高値157.99円から安値153.04円まで4.95円下落
■7月11日:3兆1678億円(介入時間帯:日本時間午後21時半頃)
・IMMネット円売り持ち高:7/2=184223枚、7/9=182033枚
・ドル円:高値161.76円から安値157.44円まで4.32円下落
■7月12日:2兆3670億円(介入時間帯:日本時間午後22時頃)
・IMMネット円売り持ち高:7/2=184223枚、7/9=182033枚
・ドル円:高値159.45円から安値157.38円まで2.07円下落
9時30分に発表される11月豪消費者物価指数(CPI)は前年比+2.2%と予想されており、10月の同比+2.1%からの上昇が見込まれている。10月のコアCPIは同比+2.4%で9月の同比+2.7%から伸び率が鈍化していたものの、豪準備銀行(RBA)が注視するコアインフレ率(トリム平均値)は同比+3.5%で、9月の+3.2%から上昇していた。RBAのインフレ目標2~3%からの乖離が拡大したことで、利下げのハードルが上がっていた。
今年5月に豪連邦議会選挙が予定されており、それまではRBAは利下げに踏み切らないとの見方もあるため、ブロックRBA総裁の発言などを注視していきたい。
(山下)