東京為替見通し=ドル円、日本の政局に注目 豪ドルは豪CPIに要注目か

 29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りの上昇したことで153.87円まで上昇したものの、予想を大幅に下回った9月米JOLTS求人件数を受けて一時153.04円付近まで失速した。ユーロドルは米長期金利の上昇で1.0769ドルまで下落した後、1.0810ドル台まで持ち直した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、円安要因となっている混迷の日本政局関連のヘッドライン、米長期金利や日経平均株価の動向に注目しながらの展開が予想される。

 本日から開催される日銀金融政策決定会合では、政治情勢の不確実性が高まっていることで、現状の金融政策の維持が見込まれている。

 植田日銀総裁は、先週末のG20会議の後の記者会見、9月の日銀金融政策決定会合の後の記者会見、そして、石破首相との初会談の後に、「不確実性が大きい場合には、政策変更を慎重に段階的に進めたい。追加利上げを判断するのに、時間的な余裕はある」と述べていた。

 また植田総裁は9月の会合で、円安修正が物価見通しの上振れリスクを低下させていること、米国経済に下振れリスクがあることを指摘していた。この2つの要因に、日本の政治情勢の不確実性が加わったため、追加利上げまでの「時間的な余裕」を拡大させていると思われ、円安要因になっている。

 日銀の金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ市場では、来年6月までに0.25%の利上げが行われ、無担保コールレート(オーバーナイト物)が0.50%になることが示唆されている。

 なお、本邦通貨当局による円安への対応としては、25日に三村財務官が「加藤財務相が米財務長官と会談で為替について議論した。投機的な動きも含めて緊張感を高めて注視している」との見解を示していた。加藤財務相も「投機的動向含め、為替市場動向を緊張感をさらに高めて注視」と述べている。

 神田前財務官は、ドル売り・円買い介入の目安にボラティリティーの上昇を挙げており、ボリンジャー・バンド+2σ付近で円買い介入を断行していた。現状のドル円相場の+2σは、154円付近にあるため、一応警戒しておきたい。

 9時30分発表の7-9月期豪消費者物価(CPI)は前期比+2.9%と予想されており、4-6月期の同比+3.8%からの伸び率鈍化が見込まれている。豪準備銀行(RBA)が重要視するトリム平均値は同比+3.5%予想と、こちらも前回+3.9%から減速する見込みだ。

 依然としてRBAはインフレに対し警戒を緩める姿勢を見せていないが、ディスインフレの傾向が鮮明になった場合には、11月、12月の豪準備銀行(RBA)理事会での利下げ観測が高まることになる。

(山下)
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