東京為替見通し=ドル円、トランプ米大統領の発言待ちか

 22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが上昇し、ロンドン・フィキシングに絡んだ円売り・ドル買いなどで156.71円まで上昇した。ユーロドルは欧州市場序盤の高値1.0457ドルから、米長期金利の上昇を受けて1.0408ドル付近まで下押しした。ユーロ円は独DAXが連日で史上最高値を更新したことなどで一時163.22円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合での追加利上げをほぼ織り込みつつある中、トランプ米大統領のインタビューやダボス会議での演説への警戒感から動きづらい展開が予想される。

 トランプ米大統領は、本日の日本時間の午前中に米国メディアとのインタビューの放映が予定されており、日本時間24日の1時からは世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でオンライン演説を行う予定、と報じられている。英国や欧州に対するトランプ関税、ウクライナ戦争や中東紛争に対する方針などが語られると思われるものの、サプライズには警戒しておきたい。

 第2次トランプ米政権のトランプ関税に関しては、中国に10%、カナダとメキシコに25%、欧州連合(EU)へも関税が検討されていると報じられており、米国の物価上昇圧力への警戒感がドル買い材料となっている。

 8時50分に発表される12月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前530億円の赤字、季節調整済5260億円の赤字)では、本邦実需筋の円売り圧力を確認することになる。
 2024年1-11月の貿易赤字は5.46兆円、また、1-12月の投資信託を通じた家計の円売り(新NISA少額投資非課税制度)は11.5兆円となっており、合計で約17兆円の円売りだった。
 2024年の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、合計で15兆3233億円となっている。円売りサイドには、本邦機関投資家の外債投資や本邦企業の海外直接投資、買収案件、さらに投機筋の円売りも加わるため、ドル円の下値を限定的にしている。

 日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁や氷見野日銀副総裁による利上げ示唆発言、そして複数の利上げ観測報道などから、追加利上げはほぼ確実視されている。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す追加利上げ確率は90%台に上昇している。

 また昨日は、神田内閣官房参与(前財務官)が「過度な動きやファンダメンタルズから乖離なら是正が必要」と述べていた。
 21日には三村財務官が、今後の為替相場の基調について、トランプ氏の打ち出す政策や発信次第との認識を示していた。そして、為替のコミットメントは、第1次トランプ政権時のG7合意「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得る」が続いているとも述べていた。

 第1次トランプ政権は、米国の貿易赤字削減のために関税引き上げとドル安を志向してきたが、第2次トランプ政権では、関税引き上げは打ち出されているものの、明確なドル安政策はこれまでのところ表明されていないが、今後の警戒材料となるのかもしれない。


(山下)
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