東京為替見通し=ドル円、今夜のトランプ米大統領就任式を控えて動きづらい展開か

 17日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、12月米住宅着工/建設許可件数や12月米鉱工業生産が予想より強い内容だったこと、ダウ平均が一時500ドル超高になったこと、米10年債利回りが4.63%台へ上昇したことなどで、156.37円まで強含んだ。ユーロドルは良好な米経済指標を受けて1.0265ドルまで下落後、英独株価指数が史上最高値を更新したことで1.0330ドルまで反発したものの、引けにかけて1.0269ドル付近まで押し戻された。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、ニューヨーク市場がキング牧師誕生日のため休場となり、トランプ米大統領の就任式が開催されるため動きづらい展開が予想される。

 14日に氷見野良三日銀副総裁は、23、24両日に開く金融政策決定会合について「焦点は利上げするかどうかだ。政策委員の間でよく議論して適切に判断する」と述べ、20日に就任するトランプ米大統領の演説内容などを見極めて結論を出す考えを明らかにした。
 15日に植田日銀総裁は「来週の金融政策決定会合で米新政権の政策や春闘の賃金動向などを精査し、追加利上げを行うかどうか判断する」と述べた。

 すなわち、本日のトランプ米大統領の就任演説が想定外の内容でない限り、今週末の日銀金融政策決定会合では0.50%への追加利上げの可能性が高いことになるため、ドル円の上値を抑える要因となっている。
 オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す日銀金融政策決定会合での0.25%の追加利上げ確率は80%台となっている。

 トランプ米大統領の就任演説や大統領令に関しては、これまでのトランプ氏の発言などから、トランプ関税、減税、移民送還、そして外交政策(ウクライナ、中東、グリーンランド、パナマ運河)などが想定される。
 リスクシナリオとして、第1次トランプ米政権と同様に、金融緩和とドル安指向を改めて明言した場合には、要警戒となる。

 第1次トランプ米政権で指名され、次期FRB議長候補のウォラーFRB理事は、先日、「関税引き上げにより物価上昇圧力の可能性が高まる」としながらも、「物価上昇圧力の持続的な上昇は引き起こさないとし、FRBは予想よりも早くより速いペースで利下げする可能性が高まる」、とのトランプ次期米大統領の要望に沿った見方を示した。

 目先のトランプ次期政権にとっての懸念材料は、債務上限の引き上げ、あるいは効力の再停止に関する議会の判断となる。
 先週末17日にイエレン米財務長官は、連邦債務の法定上限突破を回避するため、21日から会計上の特別措置を始めると発表し、債務上限の引き上げか一時停止を議会に要請した。
 トランプ次期政権下では、共和党がホワイトハウスと上下両院を支配しているため、債務上限問題はこれまでのように難航する懸案にはならないと予想されているが、昨年末には、共和党の保守強硬派が債務上限の引き上げ、停止に難色を示したことで警戒しておきたい。


(山下)
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