株式明日の戦略-きょうもAI関連が大幅安、決算発表前のアドバンテストに要注目

 28日の日経平均は大幅に3日続落。終値は548円安の39016円。ナスダックの大幅安を受けて、寄り付きから3桁の下落。米国でエヌビディアが急落したことから、半導体株や電線株などAI関連銘柄が前日に続いて強烈に売り込まれた。序盤に600円超下げて38800円台に突入したところで押し目買いが入り、いったん39300円近辺まで値を戻した。しかし、後場に入ると改めて売り直される展開。39000円は上回ったものの、500円を超える下落で取引を終えた。TOPIXはプラス圏とマイナス圏を行き来したが、小幅なマイナスで終了。グロース250指数が強く、小幅安スタートから早々にプラス転換して上げ幅を拡大。1%を超える上昇で高値引けとなった。

 東証プライムの売買代金は概算で5兆0400億円。業種別ではその他製品、銀行、不動産などが上昇した一方、非鉄金属、ガラス・土石、電気機器などが下落した。3Q累計では減益も市場の期待は上回り、決算と併せて増配も発表したLITALICO<7366.T>がストップ高。半面、アドバンテスト<6857.T>が11.1%安と急落し、1銘柄で日経平均を約269円押し下げた。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1093/値下がり511。きょうも日経平均が大きく下げる中で値上がり銘柄は多かった。上方修正を発表した日立建機が3.4%高。国内では利上げ基調が続く中、メガバンクの三井住友とみずほFGが昨年来高値を更新し、三菱UFJは上場来高値を更新した。一方で米国では長期金利が大きく低下しており、これを手がかりに三井不動産や住友不動産など不動産株に資金が向かった。任天堂やソニーGなどゲーム株の一角が大幅上昇。中国の春節休場が意識されたか、OLC、富士急行、エアトリなどレジャー関連が物色された。

 一方、AIへの高い期待がはく落する中、ナスダックの大幅安や傘下アームの急落などを嫌気してソフトバンクGが5%を超える下落。フジクラや東京エレクトロンなど電線株や半導体株が前日に続いて軒並み安となった。本日は電力向けのガスタービンなどを手がけている三菱重工もAI関連との見方が強まり急落。売買代金上位銘柄の手がけづらさが強く意識された。

 日経平均は連日の大幅安。きのうの続きといったような動きで、売買代金上位銘柄の多くが派手に下げた一方、プライム全体では値上がり銘柄が多かった。指数はさえないが、注目度の高い銘柄から資金が離散した結果、物色の裾野は広がっている。半導体株や電線株はAIに対する過度な警戒が和らいだ際には強烈な買い戻しが期待できそうでもあり、リスクオフというほどの弱さはなかった。

 あすの引け後にはアドバンテストが3Q決算を発表予定。今年に入って10日に10430円まで上昇して上場来高値を更新した銘柄が、直近の下げで8100円台まで水準を切り下げている。決算発表を前にリスク回避で一段安となるのか、それとも決算期待から見直し買いが入るのか。あすの値動きは大きく注目される。強く買われるようなら他の半導体株や電線株を刺激する可能性もある。日経平均は取引時間中に39000円を割り込む場面があり、4万円は遠のいた。ただ、終値(39016円)は75日線(39029円、28日時点)に近い。この辺りで下げ止まることができれば、基調が上向く展開も期待できる。
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