東京為替見通し=ドル円、FOMC通過で株・長期金利ながめ方向感模索か

 29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んで一時154.94円まで下落。米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通り政策金利は4.25-4.50%で据え置かれた。声明でFRBが今後の利下げに慎重な姿勢を示したとの受け止めから、米長期金利の上昇とともに155.61円付近まで上昇。ただ、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見で、インフレに関する文言削除について「特に何かを示唆するものではない」と説明すると再び上値が重くなった。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)が明日30日の理事会で利下げを決めるとの観測を背景に1.0383ドルまで下落。売り一巡後は買い戻しが優勢となり1.0429ドル付近まで戻すなど、大きな方向感は出なかった。

 本日の東京市場でのドル円は、日米の金融イベントを通過したこともあり、米長期金利や株式市場の反応を見ながら方向感を探る展開が見込まれる。

 昨日のFOMC声明は「今後の利下げに慎重な姿勢を示した」との受け止めが広がったことで、米国株の主要3指数はそろって反落する展開となった。米株安が東京市場でも意識されるようならば、クロス円主導でドル円の上値を重くする可能性がある。

 また、米10年債利回りは声明を受けて上昇する場面が見られたが、上昇が一服すると押し戻されるなど方向感が定まらなかった。ただ、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループの「フェドウオッチ」が示す次回3月の金利据え置き観測は8割と前日の7割弱から上昇しており、早期利下げ観測は一段と後退している。このことを背景として米長期金利が上昇する場面では、ドル円を押し上げることも考えられる。

 15時10分頃からになるが、氷見野日銀副総裁の講演が予定されている。前週末に日銀会合を消化したほか、28日に日銀が発表した12月の基調的なインフレ率を捕捉するための指標では、「刈込平均値」が+1.9%、「加重中央値」も+1.0%といずれも2カ月連続で前月を上回った。インフレ見通しを始め金融政策への言及があれば材料視されるかもしれない。

 そのほか引き続き注意が必要なのは、トランプ米政権の政策だろう。昨日はトランプ政権当局者が「エヌビディアの中国販売抑制の厳格化を協議」との報道が伝わると、エヌビディア株とナスダック総合が一時急落し、クロス円も下押す場面が見られた。トランプ氏が「アメリカ・ファースト」を掲げている以上、関税を始めとした政策を受けて神経質な展開を迫られることには備えておきたい。

(川畑)
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