東京為替見通し=ドル円、本日からのFOMCでの0.50%利下げ警戒で上値が重い展開か

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、9月米ニューヨーク連銀製造業景気指数が予想を上回り、米景気の底堅さが示されたことで、日本時間夕刻の安値139.58円から140.91円付近まで値を上げた。ユーロドルは1.1138ドルまで上昇した。ユーロ円は日本時間夕刻の安値155.15円から156.67円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の利下げ確率の上昇や19-20日の日銀金融政策決定会合への警戒感などから上値が重い展開が予想される。

 ドル円は、FOMCでの0.50%の利下げ確率が高まったことで、一時昨年7月以来の円高水準である139.58円まで下落しており、中期的な上昇トレンドの起点だった127.23円(2023/1/16)までの全値押しの可能性が高まりつつある。しかし、昨日の値動きは、日本や中国が休日での閑散取引の中での「往って来い」となっており、FOMCでの利下げ幅や日銀金融政策決定会合での金融政策を見極める展開となる。

 ドル円のテクニカル分析では、7月に付けた1986年12月以来の高値161.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーが完成しつつあり、ネック・ライン140.25円を明確に下抜けた場合は、127.23円までの下落の可能性が高まることになる。しかし、昨日の終値はネック・ラインの上だったことで、現状では未完成となっている。

 パウエルFRB議長が先月のジャクソンホール会合で「利下げの時が来た」と表明し、当局者は今週の会合での利下げについては明確なシグナルを発信してきている。

 先週までは、0.25%の利下げ幅が織り込まれつつあったが、パウエルFRB議長のスポークスマン的な存在であるウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者が0.50%の利下げの可能性を示唆したことで、警戒感が高まりつつある。
 また、英紙フィナンシャルタイムズも、0.50%の利下げが実施される選択肢はなお残っていると報じ、ダドリー前米NY連銀総裁も0.50%の利下げを実施する強い論拠があるとの認識を示した。

 昨日は、前FRB副議長のブレイナード米国家経済会議(NEC)委員長が、米国のインフレ情勢は「重要な転換点」を迎えたとし、今は労働市場の進展の維持に注力する必要があるとの考えを示した。
 さらに、米民主党の上院議員3人が、パウエルFRB議長ら金融当局者に対して、FOMCでの0.75%の金利引き下げを要請している。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、本日からのFOMCでの0.25%の利下げを予想する確率は33%まで低下し、0.50%の利下げを予想する確率は67%まで上昇している。また、FOMCの政策決定に連動したスワップ取引は現在、0.50%利下げを50%超の確率で織り込んでいる。

 一方で、米資産運用会社ブラックロックやゴールドマン・サックスなどは、0.25%の利下げを予想しており、予断を許さない状況が続いている。


(山下)
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