東京為替見通し=ドル円、9月FOMCでの利下げ開始観測から上値が重い展開か

 21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、7月30-31日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、7月に利下げの論拠を複数の当局者が示したことや大多数の当局者が9月の利下げは適切とみていることが明らかになったことで、146.77円から144.46円まで下落した。ユーロドルは米長期金利の低下とFOMC議事要旨を受けたドル売りで、1.1100ドルから1.1174ドルまで上昇し、昨年7月以来の高値を更新した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始観測が高まったことで上値が重い展開が予想される。

 スワップ市場では、9月FOMCで利下げが開始され、年内の利下げ幅が約1.0%になるとの見方を織り込んでいる。
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、9月FOMCで0.25%の利下げ(※FF金利:5.00-25%)が開始され、11月FOMCでは0.50%利下げ(※FF金利:4.50-75%)、12月FOMCでは0.25%の利下げ(※FF金利:4.25-50%)が見込まれている。

 昨日公表された7月のFOMC議事要旨では、数人の当局者が7月会合で利下げを実施することに前向きだった可能性や、大多数が経済指標がほぼ予想通りとなれば、次回9月の会合で金融政策を緩和することが適切となる公算が大きいことが示された。

 FOMCは、2022年3月の利上げ開始以来、2大責務(「雇用の最大化」と「物価の安定」)のうち、「物価の安定」に特段の重点を置き、FF金利誘導目標を0.00-25%から5.25-50%まで引き上げてきた。しかし、7月の声明文では、「2大責務の『両面』のリスクに留意する」との文言に変更され、雇用情勢に配慮するスタンスが示された。

 雇用情勢に関しては、米労働統計局が昨日発表した年次ベンチマーク改定の速報値によれば、2024年3月までの1年間の雇用者増は81万8000人下方修正されることが示された。
 改定前の雇用者数は1年間に290万人増(月平均で24万2000人増)だったが、今回の改定を受けて、1カ月当たり約17万4000人増のペースとなった。7月FOMC議事要旨で「一部当局者は労働市場のより深刻な悪化のリスクを指摘」していたように、労働市場が想定よりはるかに早い段階から減速していた可能性が示された。

 7月の失業率が4.3%まで上昇し、FRBが完全雇用と見なす4.2%をわずかに上回っていたことで、パウエルFRB議長は明日のジャクソンホール会合での講演で、2020年8月のジャクソンホール会合での見解、すなわち、FRBの金融政策の主軸を「物価安定」から「雇用最大化」へ大転換することを再表明する可能性が高まっている。


(山下)
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