NY株見通しー対中関税発動を受けて神経質な展開か

 今晩は神経質な展開か。昨日はカナダ、メキシコなどに対するトランプ関税の発動表明を受けて急落したが、その後メキシコへの関税発動を1カ月間猶予すると発表したことで下落幅を縮小して終了した。ダウ平均は一時665ドル安まで下落後、122.75ドル安(-0.28%)で終了し、S&P500も1.93%安まで下落後、0.76%安で終了。ナスダック総合は2.48%安まで下落後、1.20%安で終了した。引け後にはカナダに対する関税発動も30日間延期された。アジア時間では米政権が中国からの輸入品に対する10%の追加関税を予定通りに発動し、中国は米国からの輸入品の一部について2月10日から15%の関税を課すと発表した。

 今晩の取引ではメキシコ、カナダへの関税発動の延期が追い風となることが期待されるものの、米中間の関税問題が上値の圧迫要因となりそうだ。トランプ政権の関税は取引の材料とみられているものの、実際に追加の対中関税が発動されたことでセンチメントの悪化が予想される。経済指標では週末発表の1月雇用統計が最大の焦点となるが、今晩も12月耐久財受注改定値、12月製造業新規受注、12月JOLTS求人件数などが発表予定で、指標結果を受けた利下げ見通しや米10年債利回りの動向にも要注目となる。

 今晩の米経済指標・イベントは12月耐久財受注改定値、12月製造業新規受注、12月JOLTS求人件数など。決算発表はS&P500採用の40銘柄強が発表予定で、寄り前のメルク、ペプシコ、フォックス、ファイザー、エスティ・ローダー、引け後のAMD、アルファベット、サイモン・プロパティーなどが注目される。(執筆:2月4日、14:00)


 3日のNY株式相場は続落。トランプ米大統領が週末にメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を、中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと発表したことで世界的景気悪化懸念や米国内の物価上昇懸念で急落したが、メキシコに対する関税発動を1カ月停止するとしたことで過度な警戒感が後退し下落幅を縮小した。ダウ平均は下落してスタート後、665ドル安まで下げ幅を拡大したが、関税発動停止のニュースを受けて一時49ドル高まで反発し、122.75ドル安(-0.28%)で終了。S&P500も1.93%安まで下落後、0.76%安で終了し、ナスダック総合は2.48%安まで下落後、1.20%安で終了。主要3指数はそろって2日続落したが、下落幅を縮小して終了した。S&P500の11セクターは生活必需品、公益、エネルギーなど5セクターが上昇し、IT、一般消費財、資本財、金融など6セクターが下落。メキシコの主要銘柄で構成されるiシェアーズMSCIメキシコETFは2.49%高で終了した。

 メキシコ、カナダなどへのトランプ関税表明を受けて急落したが、メキシコが米国への移民防止対策のために1万人規模の軍隊を派遣するなどの合意を受けてメキシコへの関税発動が延期されたことで、トランプ関税は取引のためのツールと改めて受け止められた。投資家の不安心理を示すVIX指数は先週末の16.43ポイントから一時20.42ポイントまで上昇したが、18.62ポイントで終了した。

 引け後の動きでは、カナダに対する関税発動も30日間延期されると報じられた。
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