欧州マーケットダイジェスト・20日 株安・欧州通貨安・ドル高

(20日終値:21日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.76円(20日15時時点比△0.40円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.32円(▲0.32円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0844ドル(▲0.0051ドル)
FTSE100種総合株価指数:8701.99(前営業日比▲4.67)
ドイツ株式指数(DAX):22999.15(▲288.91)
10年物英国債利回り:4.646%(△0.015%)
10年物独国債利回り:2.780%(▲0.024%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)
       <発表値>    <前回発表値>
スイス国立銀行(SNB、中央銀行)政策金利
      0.25%に引き下げ   0.50%
スウェーデン中銀、政策金利
      2.25%で据え置き   2.25%
英中銀(BOE)、政策金利
     4.50%で据え置き    4.50%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ユーロドルは下落。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が欧州議会で「通商を巡る不確実性は高い」「米関税と欧州連合(EU)による対抗措置がユーロ圏経済を下押しする」との見解を示す中、欧州株相場の下落とともにユーロ売りが先行した。2月独生産者物価指数(PPI)が予想に反して低下したことも相場の重しとなった。
 NYの取引時間帯に入ってもユーロ安の流れが継続。3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容となったこともドル買いを促し、一時1.0815ドルと日通し安値を更新した。

・スイスフランは軟調。スイス国立銀行(SNB)はこの日、政策金利を現行の0.50%から0.25%に引き下げることを決めたと発表。市場予想通りの結果となった。ただ、声明では「基調的なインフレ圧力は今後数四半期にわたり徐々に緩和し続けるだろう」「必要に応じて金融政策を調整する」との見解が示され、スイスフラン売りが優勢となった。対ドルでは一時0.8843スイスフラン、対ユーロでは0.9583スイスフランまで下落したほか、対円でも168.13円まで値を下げた。

・ポンドドルは頭が重かった。全般ドル買いが進んだ流れに沿って一時1.2936ドルと日通し安値を付けた。英中銀(BOE)はこの日、市場予想通り政策金利を現行の4.50%に据え置いた。市場では「2人の委員が利下げを支持する」との見方が多かったが、MPC議事要旨では「ディングラ委員のみが0.25%利下げを支持した」ことが明らかに。金融政策の公表後はポンド買いが先行したものの、反応は一時的だった。

・ドル円は底堅い動き。春分の日の祝日で日本が休場となる中、アジア時間には一時148.18円まで下落した。ただ、欧米市場に入ると買い戻しが優勢に。ユーロやスイスフランなど欧州通貨に対してドル高が進んだ影響を受けた。米長期金利が低下幅を縮小したことも相場の支援材料となり、1時前に一時148.96円と日通し高値を更新した。一目均衡表転換線が位置する148.35円がサポートとして意識された面もあった。

・トルコリラ円は一時3.95円まで上昇する場面があった。トルコ中銀はこの日、緊急会合を開き翌日物貸出金利を現行の44%から46%に引き上げることを決定。また、必要なら追加措置を講じると表明した。この結果を受けてリラを買い戻す動きが広がった。
 なお、エルドアン大統領の主な政敵の拘束をきっかけに金融市場では混乱が広がり、リラ円は前日に一時3.61円と史上最安値を更新した。

・ユーロ円は下げ渋り。ユーロドルの下落につれた売りが出ると一時160.74円と本日安値を付けたものの、ドル円の上昇につれた買いが入ると161.58円付近まで下げ渋った。

・ロンドン株式相場は7日ぶりに小反落。貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識される中、欧州株全般が下落。英株にも売りが波及した。前日まで6日続伸していただけに、利益確定目的の売りも出たようだ。コンパス・グループやピアソンなど一般消費財サービスが売られたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が値下がりした。

・フランクフルト株式相場は続落。貿易摩擦が欧州経済に悪影響を及ぼす可能性が改めて意識された。市場では「財政拡大へ向けた基本法改正案が独連邦議会を通過したことで、関心は米関税政策に戻りつつある」との声が聞かれた。個別ではフォルクスワーゲン(4.15%安)やBMW(3.53%安)、ポルシェ(3.40%安)など自動車株の下げが目立った。

・欧州債券相場は英国債が下落した一方、独国債が上昇した。

(中村)
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