東京為替見通し=ドル円、関税スタグフレーションへの警戒感から続落か

 3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ米大統領が発表した「相互関税」を受けたリスク・オフの円買い・ドル売りで145.20円まで下落後、146.52円付近まで反発した。ユーロドルは、欧州市場の高値1.1144ドルから1.1016ドル付近まで下押しした。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプ米政権による「相互関税」や自動車・鉄鋼・アルミニウムなどへの関税発動を受けて、関税スタグフレーションへの警戒感が高まっていることで、下値を探る展開が予想される。

 昨日は、トランプ関税が世界的な株安を誘発して「暗黒の木曜日」の様相を呈したが、本日も同様のリスク回避(株安・円高)の地合いが継続すると思われる。

 4月1日時点のアトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」では、米国第1四半期GDPの予想が-3.7%となっている。米国を軸にした貿易戦争が激化した場合、2四半期連続のマイナス成長、すなわち、テクニカル・リセッション(景気後退)の可能性が高まるため、米連邦公開市場委員会(FOMC)への利下げ圧力が高まることになる。

 3月の日銀金融政策決定会合やFOMCでは、トランプ関税が「不確実性」と警戒されていたが、やや払拭されたことで、6月の日銀会合やFOMCで金融政策の変更があるのか否か、今後の関係筋の発言に警戒しておきたい。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している追加利下げ時期は、6月FOMC(-0.25%=4.00-25%)、7月FOMC(-0.25%=3.75-4.00%)、10月FOMC(-0.25%=3.50-75%)、12月FOMC(-0.25%=3.25-50%)となっている。

 今夜発表される米3月雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比+13.5万人で2月の同比+15.1万人から増加幅の減少、失業率の予想は2月と変わらずの4.1%が見込まれている。しかしながら、今後は米政府効率化省(DOGE)による連邦政府職員の削減、トランプ関税や報復関税により民間部門の雇用削減が見込まれるため、雇用情勢は悪化していく可能性が高いと思われる。

 トランプ米政権は、貿易赤字の削減を標榜してトランプ関税を打ち出した。しかし、貿易相手国が報復関税を打ち出して貿易戦争が勃発した場合、貿易赤字の削減は遅々として進まないかもしれない。そこで、貿易赤字削減の第2弾として、ミラン米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長やベッセント米財務長官が目論んでいると噂されているドル安誘導策、財政緩和と金融緩和を背景にした「マールアラーゴ合意」には警戒しておきたい。
 
 トランプ米大統領の執務室の壁には、尊敬するレーガン第40代米大統領の肖像画が飾られているが、貿易赤字削減のための1985年の「プラザ合意」の顰に倣った「プラザ合意II」(=「マールアラーゴ合意」)を打ち出す可能性が、今後のリスクシナリオとなるのかもしれない。


(山下)
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