株式明日の戦略-週間で3339円の下落、不安定な相場が継続か

 4日の日経平均は大幅続落。終値は955円安の33780円。「相互関税」の詳細発表を受けた米国株が大幅安となり、為替市場では円高が急速に進んだことが嫌気されて、寄り付きから400円を超える下落。売買代金上位銘柄が派手に売られ、前場のうちに下げ幅を900円超に広げた。

 後場に入って早々に4桁安になると、下方向に勢いがついて下げ幅を1400円超に拡大。33200円台に入ったところで売りが一巡すると、14時辺りからは値を戻した。節目の34000円近辺では改めての売りに押され、900円を超える下落で取引を終了。新興銘柄が強烈に売られており、グロース250指数が4%を超える下落となった。

 東証プライムの売買代金は概算で6兆8400億円と商いは膨らんだ。業種別では陸運、食料品、不動産の3業種のみが上昇。一方、銀行、非鉄金属、石油・石炭などが大幅に下落した。1Qは営業減益ながら、固定資産売却益の計上により大幅な最終増益となったキユーピー<2809.T>が急伸。半面、防衛関連が大きく下げており、中でも川崎重工業<7012.T>が11.8%安と値を崩した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり140/値下がり1489。米長期金利の急低下を手がかりに、三井不動産や東急不動産など不動産株が上昇。内需でディフェンシブ性があるという点で通信株に資金が向かっており、KDDIが4%を超える上昇となった。JR各社や小田急など鉄道株が前日に続いて全般堅調。ニトリHDや神戸物産が円高メリット銘柄として買いを集めた。福岡証取への重複上場に伴う記念優待の実施が好感されたグッドコムアセットがストップ高となった。

 一方、三井住友が8.0%安、三菱UFJが8.5%安、みずほFGが11.2%安とメガバンク3行が急落。日銀の追加利上げが難しくなるとの見方から、見切り売りが加速した。米国でアップルが9%を超える下落となっており、太陽誘電、TDK、村田製作所など電子部品株が軒並み大幅安。円高進行を受けてトヨタ、ホンダ、日産自など自動車株への売りが続いた。半導体株や電線株なども弱く、フジクラはストップ安まで売られる場面があった。

 今週、トランプ大統領が発表した「相互関税」の詳細に関する内容は、世界で驚きをもって受け止められた。日本の適用率24%に対する理由付けは乱暴といった見方もあり、これが常態化するようだと日本経済にも大きな打撃となる。当然、日本でも政治問題になっており、各国がどう動くか、それに対してトランプ政権がどう対応するかが注目される。

 関税の話は企業業績にダイレクトに響いてくるだけに、この問題を脇に置いて他の理由(例えば米国で減税の話が出てくるなど)で地合いが急改善することは期待しづらい。どこかの国および地域が米国と上手に交渉して、トランプ政権から譲歩を引き出すことができれば、買い戻しを誘う材料になる。ただ、交渉に失敗して報復関税の応酬となった場合には、余計に関税リスクが意識される。巨大な米国にどう立ち向かうか、各国の政治家の手腕が問われる。


【来週の見通し】
 不安定な展開か。米国の「相互関税」を受けて世界的に株式市場が崩れたことから、弱材料に敏感となりやすい局面。先行き不透明感が強まる中、直近の下げに対するリバウンドが入ったとしても、戻り売りが上値を抑えるだろう。米国では10日に3月の消費者物価指数(CPI)が発表される。強めの結果となった場合、景気が悪化する中で物価が上昇するスタグフレーションへの懸念が再燃し、一段とリスクオフ色が強まる可能性がある点には注意を要する。押し目買いが入る日もあるとみるが、下に値幅が出やすくなっているだけに、下落日のインパクトが大きくなることで、週間では水準を切り下げると予想する。


【今週を振り返る】
 大幅安となった。米国でスタグフレーションに対する警戒が高まったことから、週明け3月31日の日経平均は1502円安と4桁の下落。4月に入り1日と2日は上昇したが、3日は989円安と大幅下落。トランプ大統領が「相互関税」の詳細を発表し、日本には合計で24%の追加関税を課すとしたほか、他地域にも厳しめの関税率を提示したことから、リスクオフの様相が強まった。3日の米国株もこれを嫌気して大幅安。円高進行も逆風となる中、4日は主力株が総崩れとなって955円安と連日の大幅下落となった。日経平均は週間では約3339円の下落となり、下落率は9%。週足では2週連続で陰線を形成した。
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