ロンドン為替見通し=ユーロドル、米国不安を支えに堅調

 本日の欧州タイムでは、ドイツの3月消費者物価指数(CPI)の発表が予定されているが、改定値の発表であり、ユーロの動意につながる可能性は低い。ユーロドルは昨日から本日東京タイムで大幅上昇した反動で調整が入る可能性はあるが、堅調地合いを維持すると見込み、ユーロ円は重い動きが続くと想定する。

 昨日は、米国の「トリプル安(株安・債券安・通貨安)」でユーロドルは大幅上昇し、本日の東京タイムで一時2022年2月以来の高値となる1.13ドル後半まで急上昇した。トランプ関税の暴走が始まって以来、全般ドル売りが優勢となった。金融市場の不安定な動きで、トランプ米大統領は上乗せ相互関税を一時停止するしかなかったが、米中貿易戦争の激化懸念が高まるなか市場の米国に対する不安は大きい。

 米国株への不安は消えず、米国債は中国の手放し思惑が高まるなか投げ売りに伴い金利が急騰しているなど、市場は米国売りに走っている。朝令暮改のトランプ米政策が生む不確実性や信認の低下がマネーの米国離れを誘っている。投資家のリスク警戒感が続くなか、逃避通貨とされるスイスフランの上昇が目立っているほか、ドルに続いて取引が多いユーロも健闘している。

 欧州連合(EU)は米政権が先月に発動した鉄鋼とアルミニウム製品への25%関税への報復関税第1弾を15日に発効するとしていたが、発動を90日間遅らせるとした。米政権はEUからの輸出品に20%の相互関税を課す措置を90日間停止するとし、EU製品に対する税率は一律の10%になっている。EUの行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、米国との交渉にチャンスを与えたいとの考えを示している。関税合戦で米中の関係が悪化していることも、交渉で米国から譲歩を引き出すチャンスと見ているようだ。

 市場の目線が関税に向けられており、ユーロ独自の材料に注目度が低いが、来週予定されている欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ思惑が後退しているのもユーロの下支えとなる。関税などで不確実性が高まっていることを理由に利下げの一時停止を主張するメンバーが増えているもよう。

・想定レンジ上限
 ユーロドルの上値めどは、本日これまでの高値1.1383ドルや2022年2月11日の高値1.1431ドル、ユーロ円は3月27日高値163.36円。

・想定レンジ下限
 ユーロドルの下値めどは、本日これまでの安値1.1191ドルや9日高値1.1095ドル、ユーロ円は90日移動平均線160.90円や日足一目均衡表・雲の上限159.85円。


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