ニューヨーク外国為替市場概況・16日 ドル円、反落

 16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は141.88円と前営業日NY終値(143.21円)と比べて1円33銭程度のドル安水準だった。日米関税交渉を明日17日に控える中、しばらくは大きな方向感が出なかった。ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言が伝わると米国株相場の下落とともにリスク回避の円買いが優勢となり、4時30分前に一時141.65円と昨年9月以来の安値を付けた。市場関係者からは「CTA(商品投資顧問)の売りが観測された」との声も聞かれた。
 パウエルFRB議長はこの日の講演で「米政権の関税措置による経済への影響は予想を大幅に上回る」と述べた一方、景気の下支えにつながる早期の利下げには慎重な考えを改めて示した。「いざとなればパウエル議長が緩和に動く」という期待感(パウエル・プット)がはく落すると、ダウ平均は970ドル超下落し、ナスダック総合は4%超下げる場面があった。

 ユーロドルは3営業日ぶりに反発。終値は1.1399ドルと前営業日NY終値(1.1282ドル)と比べて0.0117ドル程度のユーロ高水準となった。明日17日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前に様子見ムードが強く、しばらくは狭い範囲内での推移にとどまった。
 ただ、パウエルFRB議長が早期利下げに慎重な姿勢を改めて示すと、米国株相場が大幅に下落したほか、米長期金利が低下幅を拡大。全般ドル売りが優勢となり、4時30分前に一時1.1413ドルと日通し高値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.17まで低下した。

 ユーロ円は3日ぶりに小反発。終値は161.67円と前営業日NY終値(161.57円)と比べて10銭程度のユーロ高水準。24時過ぎに一時162.28円と日通し高値を付けたものの、引けにかけては伸び悩んだ。パウエルFRB議長の発言をきっかけに米国株が下げ幅を拡大したことなどが相場の重し。4時30分前には161.56円付近まで下押しした。

本日の参考レンジ
ドル円:141.65円 - 143.28円
ユーロドル:1.1281ドル - 1.1413ドル
ユーロ円:161.36円 - 162.28円

(中村)
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