週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、日銀会合や日米貿易交渉に警戒

◆ドル円、日銀金融政策決定会合や第2回日米貿易交渉に警戒
◆米1-3月期GDP速報値、3月PCEデフレーター、4月雇用統計などに注目
◆ユーロドル、欧米通商協議や4月ユーロ圏HICP速報値に注目

予想レンジ
ドル円   140.00-145.00円
ユーロドル 1.1100-1.1500ドル

4月28日週の展望
 ドル円は、今週の日米財務相会談で為替目標への言及がなく、日米で緊密に協議することが確認されたことを受けて、30日から5月1日に予定されている日銀金融政策決定会合での金融政策に注目する展開となりそうだ。市場では、トランプ関税の不確実性が払拭されない状況では、追加利上げは見送られると見込まれている。ただ、今週米ワシントンで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議で、ベッセント米財務長官が植田日銀総裁に対して非公式に利上げを要請した可能性もないとは言えず、追加利上げの可能性には警戒しておきたい。また、5月1日に予定されている第2回日米貿易交渉にも注目が集まる。

 米国では、30日に1-3月期GDP速報値が発表される。市場では、前期比年率0.4%と予想されており、前期の2.4%からの減速が見込まれている。ただ、アトランタ連銀の予測モデル「GDPナウ」では、現在、-2.2%。マイナス成長に転落した場合は、関税によるスタグフレーションへの警戒感が高まることになるだろう。また、FRBがインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの3月分も公表されるが、前年比2.2%と予想されており、2月の2.5%からの伸び率鈍化が見込まれている。さらに、週末5月2日には4月の雇用統計が予定されているが、失業率予想は4.2%と3月と変わらずだが、非農業部門雇用者数は前月比12.3万人と3月の22.8万人からの増加幅減少が見込まれている。米国の物価や雇用情勢が予想通りだった場合、5月6-7日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、追加利下げ観測が高まりそうだ。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示す追加利下げ時期は、6月(4.00-25%)、9月(3.75-4.00%)、10月(3.50-75%)となっている。

 ユーロドルは、難航している欧米通商協議の行方に注目だが、年内の欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ回数が2回から3回と予想される中で、ユーロ圏4月の消費者物価指数(HICP)速報値を見極める展開となるだろう。ECBはこれまで中立金利水準を1.75-2.25%としており、既にこの上限に達しているが、当局は「概念的に重要だが政策決定には重要ではない」としている。

4月21日週の回顧
 ドル円は、米中貿易戦争や日米財務相会談、FRB議長解任などへの警戒感から139.89円まで年初来安値を更新したが、ベッセント米財務長官が「為替目標は議論しない」との見解を示したほか、トランプ米大統領が対中関税の引下げを示唆。「FRB議長解任の意図はない」とも発言すると一時143.57円まで買い戻された。なお、日米財務相会談では、為替目標への言及はなく、過度な変動による経済への悪影響が再確認されるにとどまった。ユーロドルは、独政府が今年の成長見通しをゼロに下方修正したこともあり1.1573ドルから一時1.1308ドルまで値を下げている。(了)

(執筆:4月25日、9:00)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。