週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、FOMCやFRB議長会見に注目

◆ドル円、FOMCやパウエルFRB議長会見に注目
◆ドル円、為替報告書、四半期定例入札にも注意
◆ユーロドル、難航している欧米貿易交渉に注目

予想レンジ
ドル円   142.00-148.00円
ユーロドル 1.1000-1.1500ドル

5月5日週の展望
 ドル円は、米1-3月期国内総生産(GDP)速報値が前期比年率▲0.3%に落ち込んだことを受けた米連邦公開市場委員会(FOMC)での議論やパウエルFRB議長の見解に注目する展開となる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、5月のFOMCは据え置きで、6月FOMCで0.25%の利下げ開始が予想されており、7月、9月、12月と年内4回の利下げで12月のFF金利誘導目標は3.25-50%と見込まれている。トランプ米大統領に加えてベッセント米財務長官もFRBに利下げを要請しており、関税スタグフレーションへの警戒感が高まる中で、6‐7日開催のFOMCの議論を確認したいところだ。

 ドル円は、1日に公表された展望レポートにおける物価見通しの下方修正や植田日銀総裁がトランプ関税の不確実性を理由に追加利上げに慎重なスタンスを示したことで145円台後半まで急伸したが、投機筋の円のネットの買い持ちポジションが過去最大規模まで膨らんでおり、手仕舞いが続くことにも注意が必要だろう。

 また、トランプ米政権の相互関税発動が米トリプル安を引き起こしたこともあり、米国債の四半期定例入札1250億ドル(5日:3年債580億ドル、6日:10年債420億ドル、8日:30年債250億ドル)にも警戒しておきたい。国債発行計画では、入札規模を今後数四半期にわたって据え置く見通しが示され、買い戻しプログラムの強化を検討していることが明らかにされている。

 更に、毎年4月と10月頃に米財務省が公表している「為替報告書」にも注意。昨年は6月に公表され、日本は対米貿易黒字と経常黒字が基準に抵触したことで、為替操作の監視対象リストに追加された。トランプ米政権は、日米貿易不均衡是正に向けて、ドル安・円高の圧力を仄めかしながら日米通商交渉を行っており、対米貿易黒字への言及が予想される。

 ユーロドルは、難航している欧米貿易交渉の行方に注目する展開となる。欧州連合(EU)は、米国との貿易協議を再始動させるための提案をまとめた文書をトランプ政権に提示する方針であり、文書には、貿易および非関税障壁の低減や対米投資の拡大、米国産の液化天然ガス(LNG)の購入などが盛り込まれる見通しとなっている。

4月28日週の回顧
 ドル円は、週初から米長期金利の低下を受けて一時141.97円まで値を下げたものの、日銀が物価見通しの下方修正を伴うハト派的な金利据え置きを決定したことから、一気に145円後半まで急伸した。米国1-3月期GDP速報値は、前期比年率▲0.3%だったものの、トランプ関税に対する駆け込み輸入増によるものとして影響は限定的となっている。ユーロドルは、全般ドルの買い戻しが進むなか、1.1425ドルから1.1266ドルまで戻り売りに押されている。(了)

(執筆:5月2日、9:00)
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