東京為替見通し=ドル円、米中関税交渉への期待感から底堅い展開か

 2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、4月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比17.7万人増だったものの、前月の数値が下方修正されたうえ、平均時給が予想を下回ったことで143.73円まで下落した。しかし、「中国は米国との通商協議開始に向けてフェンタニルに関する提案を検討している」との報道で、ダウ平均が一時630ドル超上昇し、145.08円付近まで反発した。ユーロドルは1.1381ドルまで上昇した後、1.1293ドル付近まで下押しした。

 本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京・上海・香港市場が休場のため動きづらい展開の中、先週の日銀のハト派的据え置き、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)での据え置き観測の台頭、米中関税交渉への期待感などから底堅い展開が予想される。

 米中の関税交渉が進展するのではないかとの期待感が高まっている。
 中国商務省報道官は2日、米国との通商協議の可能性を現在検討していると述べ、「誠意」を示すよう米国に促した。
 また、中国は、約400億ドルの米国製品について、公式発表なしに関税の適用除外を開始した。
 さらに、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、中国が通商交渉の開始に向けて、米国側に合成麻薬フェンタニルに関して提案を行うことを検討していると報じた。
 本日は、トランプ米大統領による見解に注目しておきたい。

 先週末に発表された米4月の雇用統計では、失業率は4.2%で3月と変わらずだったが、非農業部門雇用者数が前月比+17.7万人と予想を上回った。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、5月FOMCの据え置き見通しは変わらずだが、6月FOMCでの0.25%の追加利下げ見通しが据え置きに変わり、追加利下げの回数も、先週末の年4回から7月、9月、10月の3回となり、12月時点では3.50-75%と見込まれている。

 注目されているIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円のネット買い持ちポジションは、4月29日時点(※NY終値:142.33円)で179,212枚(前週比+1,398枚)で過去最大を更新していた。
 その後、ドル円は、5月1日の日銀金融政策決定会合でのハト派的据え置きで、145円台後半まで上昇しており、一部手仕舞われた可能性があるため、今週末の商品先物取引委員会(CFTC)の発表を待ちたい。


(山下)
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