週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、40年国債入札に警戒

◆ドル円、40年国債入札を巡る本邦長期金利の動向に警戒
◆ドル円、米財政悪化を背景としたトリプル安に注意
◆ユーロドル、ドル安支えも欧州景気先行き懸念が重し

予想レンジ
ドル円   140.00-145.50円
ユーロドル 1.1050-1.1450ドル

5月26日週の展望
 ドル円は、本邦長期金利の上昇懸念や米財政問題を背景に上値の重い動きとなりそうだ。まず、来週の注目は28日に財務省が実施する40年国債入札だろう。20日に行われた20年債入札では、平均落札価格と最低落札価格の差(テール)が1987年以来の大きさとなったうえ、応札倍率が2012年以来の低水準となるなど、歴史的な弱い結果となったことで本邦長期金利が急上昇。30年債・40年債利回りが過去最高水準を付けて、ドル円下落のきっかけとなった。日銀の金融緩和縮小により国債の買い入れが減少するなかで、ただでさえ需要の乏しい40年債の入札への警戒感は一段と高まっている。21日に機関投資家を対象とした債券市場参加者会合でも一部から超長期債の需給軟化を懸念する声が上がった。40年債入札の弱い結果を見越して本邦金利が一段と上昇すれば、ドル円の上値は重くなるだろう。

 また、ドル円の売り材料となりそうなのが米財政問題。大型減税を盛り込んだ税制・歳出法案が可決される見通しであり、議会予算局によると今後10年間で連邦債務が3兆8000億ドル程度増える可能性があるという。先日、米国を格下げした格付け会社ムーディーズが指摘していたように、財政赤字拡大への懸念は一段と高まっており、超長期債である米30年債の利回りが大きく上昇している。財政懸念を背景とした債券売り・株売り・ドル売りの米トリプル安には警戒しておきたいところだ。

 なお、来週は27日に5月消費者信頼感指数、28日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、29日に1-3月期四半期実質国内総生産(GDP、改定値)、30日に4月個人消費支出(PCEコア・デフレーター)が発表される。

 ユーロドルは神経質な動きとなりそうだ。足元で進んでいるドル売りは下値を支えそうだが、懸念されるのは欧州経済状況だろう。5月は世界的に米関税交渉で進展があったため改善が見込まれていたが、22日に発表された5月独サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値が2022年11月以来の水準まで悪化した。欧州の景気先行き懸念から積極的にユーロを買う動きも限られそうだ。

5月19日週の回顧
 ドル円は軟調。週前半は145円を挟んで方向感がなかったが、記録的な低調となった20年債入札をきっかけに売りが優勢に。中東情勢の悪化でドル安・スイスフラン高が進んだほか、円安是正議論に対する根強い警戒感も重なって週後半には一時142.81円まで売り込まれた。

 ユーロドルは堅調。ドル円の下落や対スイスフランでのドル売りも追い風となり、一時1.1363ドルまで上値を伸ばした。(了)


(執筆:5月23日、9:00)
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