ロンドン為替見通し=トランプ関税差し止めを受けた欧米通商交渉に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、米国際貿易裁判所によるトランプ関税差し止めを受けた欧米通商交渉に関するヘッドラインに注目していく展開が予想される。

 ユーロドルのテクニカル分析では、攻防の分岐点である日足一目均衡表・転換線1.1288ドルや雲の上限1.1286ドルを下回っており、下値リスクが高まりつつある。

 本日は、米国際貿易裁判所がトランプ米大統領の『解放の日』関税を差し止め、トランプ政権が控訴を申し立てた、と報じられており、通商交渉への影響にも注目しておきたい。
 国際貿易裁判所による差し止めの範囲は、トランプ関税措置の大部分(貿易相手国・地域に対する一律関税、中国などに対する高率関税、中国およびカナダ、メキシコに対する合成麻薬フェンタニルに関連した関税)となるが、適用外は、通商拡大法232条や通商法301条など異なる権限に基づいて鉄鋼・アルミニウム、自動車に賦課された関税となる。

 本日、欧州連合(EU)のシェフチョビッチ欧州委員(貿易・経済安全保障担当)は、ラトニック米商務長官およびグリア通商代表部(USTR)代表と協議を行う予定となっている。そして、シェフチョビッチ氏は、ラトニック、グリア両氏と1日おきに協議することで合意したと述べており、米国による上乗せ関税発動期限である7月9日より前に通商交渉をまとめる意向が窺える展開となっている。

 さらに、ドイツの3大自動車メーカー(BMWとメルセデス、フォルクスワーゲン)が関税問題でラトニック商務長官と集中協議を行っており、合意成立に近づいている、とも報じられており、欧米通商合意の可能性が高まりつつある。

 一昨日、トランプ米大統領は、欧州連合(EU)から貿易協議の日程を早急に設定するよう要請があったとして、前向きな兆候であり、欧米の貿易の門戸を開くことを期待すると述べていた。

 しかし、トランプ米大統領は、「合意に至らない、もしくはわれわれが不当な扱いを受ければ、私に米国との貿易を巡るディールを成立させる権限があることを忘れてはならない」とも警告しており、交渉が難航するリスクにも警戒しておきたい。
 

想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1345ドル(5/28高値)
・ユーロ円:165.21円(5/13高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1131ドル(5/16安値)
・ユーロ円:162.52円(日足一目均衡表・転換線)


(山下)
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