NY為替見通し=いつも以上にトランプ発言に警戒、指標は1-3月期GDP改定値など

 本日のニューヨーク為替市場では、いつも以上にトランプ米大統領の発言に警戒が必要か。経済指標では1-3月期米GDPやコアPCE、週間の失業率データが発表予定。また、複数名の米金融当局者の講演が序盤から終盤まで予定されている。

 東京午前にドル買い円売りの勢いを強めたのは、米・国際貿易裁判所がトランプ大統領の「解放の日」関税を差し止め、との報道が伝わったこと。裁判所は、輸入品への全面的な課税は大統領権限を逸脱していると判断。トランプ関税の大部分が停止されることで、世界経済の減速懸念が一気に後退し、リスク志向ムードが広がった。

 もっとも、異なる権限に基づいてトランプ大統領が賦課した「鉄鋼・アルミニウム、そして自動車」への関税には影響がないもよう。そうなると、たとえ今回の裁定が実行されたとしても、日本などは手放しで喜べない。

 トランプ政権は既に国際貿易裁判の判断を控訴しており、最終的な司法決定は連邦高裁を経て連邦最高裁までもつれ込みそうだ。関税はトランプ大統領が政策の核としてきたものであり、今回の件で相当プライドを傷つけられた感じているだろう。大統領の怒りはかなりのものと予想され、今後は司法に対して厳しい圧力をかけてくるのではないか。

 時間外では米株先物指数は堅調に推移したものの、トランプ大統領の出方次第では国内の混乱が拡大する恐れはある。新たな関税策を打ち出してくるかもしれず、単純にリスクオンという流れにはならないかもしれない。

 経済指標については、1-3月期GDPなどは改定値であり、速報値から大きく振れない限り相場インパクトは弱そうだ。ただし、速報値でGDP(前期比年率)は小幅なプラス予想からマイナスに沈んだ。この辺りの結果には目を向けておきたい。

 なお、予定されている金融当局者の発言は、バーキン米リッチモンド連銀総裁から始まり、グールズビー米シカゴ連銀総裁、クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁まで続く。

想定レンジ上限
・ドル円、本日高値146.28円を超えると15日高値146.75円。

想定レンジ下限
・ドル円、本日安値144.76円を割り込むと日足一目均衡表・雲の下限143.83円。


(小針)
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