NY為替見通し=メモリアルデー、閑散取引のなかトランプ発言には依然として要注意

 本日の米国はメモリアルデーで祝日であり、カナダ勢が居るとはいえ北米市場は閑散な取引となるだろう。薄商いのなか、やはり注意すべきはトランプ米大統領の貿易に関する発言となる。また、ロシアを巡る欧州・地政学リスクの高まりにも注意しておきたい。

 一部報道が米財務省のデータとして報じたところによると、米国の5月関税収入は223億ドルを超えたもよう。トランプ米政権による一律完全が初めて反映され、月間ベースでは過去最高額となった。しかしながらトランプ大統領が目指す1日当たりの関税収入20億ドルには、現在の関税率では届かないと見られている。

 トランプ大統領は先週末、欧州連合(EU)が譲歩しないならば6月から50%の関税を課す考えを示したものの、米国25日には「発動期限の7月9日まで延長」を表明した。もっとも、関税収入は大統領が推す大規模な減税法案の財源の1つとされ、もし収入が伸び悩むとなれば、いつまたトランプ氏の物言いが変わってもおかしくはない。先週末のリスクオフ、週明けのリスクオンの流れのきっかけはトランプ大統領の発言であり、まだ暫くは右往左往させられることになるだろう。

 トランプ米大統領がウ・露仲介の離脱を示唆したことを受け、ロシア軍のウクライナへの攻撃が激化している。トランプは対露制裁の再検討を明らかにしたものの、どの程度の抑止効果があるかは分からない。ロシアへの警戒感が一層高まるなか、ドイツ軍はロシアの侵攻に備えるため、リトアニアに常駐部隊を派遣した。ドイツが単独で外国に部隊を常駐させるのは、第2次世界大戦後で初めてだ。

 ロシアを巡る欧州の地政学リスクは、想像している以上に高まっているのかもしれない。今後は北大西洋条約機構(NATO)とロシアの対立に、これまで以上の警戒が必要となりそうだ。

想定レンジ上限
・ドル円、ピボット・レジスタンス1の143.66円を超えると26日高値144.14円

想定レンジ下限

ドル円、4月29日安値141.97円を割り込むと同月23日安値141.49円

(小針)
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