NY為替見通し=トリプル安に要警戒、米4月景気先行指数やFRB高官発言にも要注目か

 本日のNY為替市場のドル円は、米国債格下げを受けたトリプル安に警戒しながら、米4月の米景気先行指標総合指数や複数の米連邦準備理事会(FRB)高官による「不確実性」や米国債格下げに関する見解に注目していく展開となる。

 4月米景気先行指標総合指数は前月比-1.0%と予想されており、3月の同比-0.7%からの悪化が見込まれている。トランプ関税への警戒感から景気の先行きに対する見通しが悪化することが見込まれており、ネガティブサプライズに警戒しておきたい。

 米国と中国による貿易協定の締結により、「不確実性(uncertainty)」がやや後退したものの、米国債の格下げという不透明要因が加わったことで、ボスティック米アトランタ連銀総裁、ジェファーソンFRB副議長、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、ローガン米ダラス連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁などによる利下げへの言及には注目しておきたい。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ時期は、9月FOMC(▲0.25%=4.00-25%)と予想されており、12月FOMCの年内2回の利下げで12月時点のFF金利誘導目標は3.75-00%と見込まれている。

 また、先週末の米格付け会社ムーディーズ・レーティングスによる、米国債格付下げによる米国債市場への影響やトリプル安となるにか否かにも注目しておきたい。

 トランプ米政権は、2つの赤字、貿易赤字と財政赤字の削減を標榜している。対外的赤字の貿易赤字は、関税の引き上げ、そしてドル安誘導による削減が目論まれている。対内的赤字の財政赤字は、関税による歳入増加、政府効率化省(DOGE)による歳出削減が目論まれ、利払い抑制のための米国債利回りの抑制が目論まれている。
 しかし、米国債が最上位「トリプルA」の格付けを失ったことは、米国債売りによる米国離れ、金利上昇に繋がる可能性が高まったことになる。
 トランプ米大統領とベッセント米財務長官は、10年物国債の金利を重要視する、と述べており、米国債の売り材料への見解にも注目しておきたい。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、146.46円(日足一目均衡表・雲の下限)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、144.27円(日足一目均衡表・基準線)



(山下)
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