NY為替見通し=NY株式・債券市場の動向に見定め、FRB理事の講演にも注目

 本日のNY為替市場のドル円は、米株式・債券市場の動向を眺めながら、タカ派のクーグラーFRB理事のトランプ・ショックに対する見解に注目することになる。

 ニューヨーク株式市場は、過去にも米国の内外のショックにより暴落を繰り返してきたが、米連邦準備理事会(FRB)による流動性の供給(FRBプット)によって下げ止まってきた。

 今回のトランプ関税ショックが、これまでのブラックマンデー(1987年)、ロシア財政危機(1998年)、ドットコムバブル崩壊(2000年)、世界同時多発テロ(2001年)、リーマンショック(2008年)、コロナ・パンデミック(2020年)に匹敵するのか否か、しばらく様子を見ていくことになる。しかし、最終的にはこれまで同様にFRBの大規模な流動性供給による株価下支えで終息すると思われる。

 パウエルFRB議長は、先週「われわれは急ぐ必要はないと感じる。金融政策の適切な方向性について結論を出すのは時期尚早だ」と言及。利下げの判断は急がず、今後発表される経済指標などを見極めて、慎重に金融政策を決定していく考えを強調した。

 本日講演予定のクーグラーFRB理事は、トランプ米大統領が相互関税を発表する前の2日の講演でパウエルFRB議長と同様の見解を述べていた。内容としては、「経済活動と雇用が安定している中でインフレの上振れリスクが続く限り、現行の政策金利を維持することを支持」「今後は、入手するデータや変化する見通し、リスクのバランス変化を慎重に評価していく」だった。

 本日のクーグラー理事の発言から、NY株式市場の大幅下落が「変化する見通し、リスクのバランス変化」に考慮されるのか否か、そして追加利下げ見通しへの見解を見極めることになる。

 CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の追加利下げ時期は、5月FOMCは据え置き(約52%)と追加利下げ(約48%)が拮抗。しかしながら、6月FOMCでは現行金利から0.50%低い水準を織り込む動きがやや高まっている。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は、147.43円(4/4高値)

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は、144.56円(4/4安値)


(山下)
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